Microsoftは、Windows 11の検索機能にAIを組み込んだ「改良版Windows検索」を間もなく提供開始する。この機能は、自然な表現による検索を可能にし、ファイル名や設定項目を正確に覚えていなくても目的の情報に辿り着ける。
初期対応はSnapdragonプロセッサ搭載のCopilot+ PCに限定され、40 TOPSのNPUを活用することでオフラインでも動作可能。クラウド上の写真にも対応し、OneDrive連携でより柔軟な検索体験を実現する。
長らく「決定的な機能に欠ける」と評されてきたCopilot+ PCにとって、この機能は初の“使う理由”となる可能性がある。一般提供時期は明言されていないが、Release Preview段階に入っており、近いうちのリリースが予想されている。
Snapdragon限定で先行提供 改良版Windows検索が実現する“思考ベース”の操作感

新たに登場する「改良版Windows検索」は、従来の語句に依存した検索スタイルを大きく変えるもので、ユーザーの意図を理解して答えを導く仕組みとなっている。Microsoftによれば、意味的インデックスと語彙インデックスのハイブリッド構造を採用することで、ドキュメントや写真、設定に至るまで、自然な表現での検索を可能にしたという。例えば「テーマを変える方法」や「去年の夏の写真」といった漠然とした入力にも対応できる点は、従来のWindows検索にはない大きな進化といえる。
この機能は、Snapdragonプロセッサを搭載したCopilot+ PCでのみ先行提供されており、最低でも40 TOPSの演算能力を持つNPUがオフラインでのAI処理を支えている。さらに、OneDriveと連携することでクラウド上の写真も同様に検索対象となるため、端末に依存しない操作性が期待される。こうした構成は、ハードウェアとソフトウェアの緊密な連携がなければ成立しない。
一方で、AMDやIntel搭載機種にも順次提供される予定とされているものの、現時点では具体的な時期は明らかになっていない。すでにCopilot+ PCを所有している一部のユーザーは早期にこの恩恵を受けられる一方で、多くのPC利用者にとっては待機状態が続く可能性がある。このような先行限定の展開には戸惑いもあるが、まずはAIの処理能力を最大限に活かせる環境で安定性を確保するという点では、理にかなった判断といえるかもしれない。
“専用機能ゼロ”の評価から転機へ Copilot+ PCの本領がようやく見え始めた
Copilot+ PCは2023年6月の登場以来、そのネーミングとは裏腹に「他とどう違うのか」が曖昧な存在であり、Windows CentralのZac Bowden氏が指摘するように、これまで“完全な失敗”と評されることも少なくなかった。最大の要因は、専用機能の不在にあった。Copilotの名を冠しながら、ユーザーにとって明確なメリットが提示されないまま市場に投入されたことが失速を招いたと言える。
しかし今回の「改良版Windows検索」は、ようやくCopilot+ PCを名乗るにふさわしい機能として注目を集めている。NPUの処理能力を活かしてネット接続不要のままAI検索を行えるという点は、他のWindowsマシンでは得られない体験を提供する可能性がある。また、設定や写真検索に自然言語で対応できるという点は、日常的なPC操作に直結する利便性であり、システムの根幹に近い部分を支える機能だけにインパクトは大きい。
とはいえ、こうした“決定的な機能”がようやく登場したという事実は、それだけCopilot+ PCの立ち上がりが慎重すぎたことも示唆している。発売から時間が経過した今になって本来の性能が活かされるという構図は、期待外れだったユーザーの評価を覆すには時間がかかるかもしれない。ただ、今後この検索機能が一般展開され、IntelやAMD搭載機でも同様の体験が得られるようになれば、Copilot+の存在意義もより明確になってくるだろう。
Source:Windows Central