米プライベートエクイティ業界が、キャリーインタレスト課税の優遇措置維持を狙い、7桁規模の広告キャンペーンを開始した。背景にはトランプ前大統領による制度見直しの動きがある。業界は、現行の23.8%の資本利得税率から、最高40.8%の所得税率への引き上げが、国際競争力の低下を招くと警戒する。

「Investing in America」と題された広報戦略では、業界が米国で雇用する1,330万人や税収3370億ドルといった経済貢献を強調。2017年の税制改革で実質的に一度決着したとする立場を取りつつも、10年間で約130億ドルの財政赤字削減が見込まれる新税案への危機感は強い。法人税控除を制限する「C-SALT」も議論に浮上しており、米企業経営陣全体に警戒感が広がっている。

広告攻勢に動く米プライベートエクイティ業界 7桁規模の「Investing in America」戦略

米プライベートエクイティ業界は、キャリーインタレスト課税の優遇措置を守るため、「Investing in America」と銘打った大規模な広告・広報キャンペーンを開始した。広告予算は7桁に上るとされ、政界や世論に対する影響力行使を狙っている。この戦略は単なる業界防衛ではなく、経済への貢献を強調することで、トランプ前大統領の保守的経済政策とも整合的なメッセージを打ち出そうとする意図がある。

米国投資協議会(AIC)のドリュー・マロニーCEOは、「2017年の税制改革こそが適切なバランスをもたらした」と主張。現行制度では、プライベートエクイティの従業員はキャリーインタレストに対して資本利得税率(23.8%)が適用されるが、これを最高40.8%の所得税率に引き上げる動きに、業界は強い危機感を示している。現状では資産保有期間が3年以上であれば、税優遇が認められる仕組みだ。

広報の主軸は、雇用創出と税収貢献にある。EYの最新調査では、米国内でプライベートエクイティが雇用する労働者は1,330万人、関連企業が納めた税金総額は3,370億ドルに達するとされた。広告戦略は、この数値をもとに「経済成長の推進者」としての立場を可視化するものである。

キャリーインタレスト課税の見直しが招く米国競争力の低下と財政のジレンマ

キャリーインタレスト課税をめぐる再議論は、経済成長と財政健全化という米国が直面する二律背反を映し出す象徴的なテーマである。税制を変更すれば、今後10年間で約130億ドルの財政赤字を削減できると米議会予算局(CBO)は試算するが、その代償として投資意欲の減退や人材流出といった副次的影響が懸念されている。

特に問題視されるのは、税率の国際比較である。現行の23.8%というキャピタルゲイン税率は、他の先進諸国と比べて競争力のある水準にあるが、40.8%へ引き上げられた場合、欧州主要国やカナダ、中国をも上回る高水準となる。これは、グローバル資本の流入における米国の優位性を損なう恐れがあると業界側は警戒する。

加えて、今回の議論はプライベートエクイティ業界のみにとどまらない。企業の州・地方税の連邦税控除(いわゆるC-SALT)の見直しも俎上に上っており、法人税負担の増加により経営環境が一段と厳しさを増す可能性がある。こうした一連の税制再設計は、企業の投資判断や国際展開に波紋を広げるだろう。

Source:axios