米大統領ドナルド・トランプ氏は、自動車や半導体、医薬品などを対象とする関税措置について、4月2日に発表する方針を示した。一方で、すべての関税が即日発動されるわけではなく、複数の国に対しては猶予や適用除外の可能性があると述べた。
同時に、ベネズエラ産の石油や天然ガスを購入する国への「二次的関税」として25%の追加関税を課す方針も発表。これを受けて原油価格は上昇し、米株式市場は関税措置に柔軟性があるとの期待から上昇した。
ホワイトハウスは具体的な対象国や業種は未定としつつも、最大貿易黒字を持つ「ダーティ15」に重点を置くと示唆。韓国・現代自動車による210億ドルの米国投資発表も併せて行われ、対中・対南米戦略の一環とみられる。
自動車関税は「数日以内」に発動 対象業種は段階的に拡大へ

ドナルド・トランプ大統領は、自動車分野への25%の関税を「数日以内」に発動すると明言した。自動車に続き、半導体やアルミニウム、医薬品などの輸入品も対象に含める方針を示しており、関税政策が段階的かつ広範に展開される可能性がある。ホワイトハウスは具体的な発動日は未定としながらも、対象となる業種の選定は大統領の裁量によると明かしている。
この措置は、安全保障上の観点を理由に掲げたものであり、「有事に備え、国内での供給網を確保する必要がある」との姿勢を強調した。すでに中国からの輸入品に20%の新関税が課されており、今後は自動車分野を皮切りに、先端技術やインフラ関連の輸入品も網にかけられるとみられる。米国内での生産回帰を促す狙いが透けて見える。
一方、こうした動きは、WTO協定との整合性や貿易パートナー国との関係に摩擦をもたらす懸念もある。既にGMやフォードなど米大手自動車メーカーが懸念を表明し、一部の関税は延期対象となっていた。今後、同様の業界圧力が影響を与える余地は否定できない。
関税猶予の対象は「ダーティ15」以外か 米政府が見据える対話と圧力の均衡
トランプ政権は、4月2日に発表予定の「相互関税」において、すべての国が一律に対象となるわけではないとの認識を示している。財務長官スコット・ベセントや経済顧問ケビン・ハセットは、特に貿易黒字が大きく、関税・非関税障壁が高い15%の国々、通称「ダーティ15」を重点対象にすると述べた。ここには中国、EU、インド、韓国、日本などが含まれている。
こうした国々に対し、ホワイトハウスは早期の協議を求めており、訪米する外交使節団が活発化している。ただし、非関税障壁の撤廃には時間がかかるため、即時の関税回避は困難との見方が強い。現在の計算には、関税そのものよりもむしろ制度的な障壁や慣行の違いが織り込まれており、短期間での調整は現実的ではないとされる。
その一方で、韓国・現代自動車による210億ドルの米国投資発表は、米国への製造回帰を実現する象徴的な事例となった。トランプ氏はこの動きを歓迎し、関税の回避には「生産の移転が鍵になる」との姿勢を明確にしている。制度変更による交渉と、直接的な資本移転の両面で圧力とインセンティブを並行させる戦略が展開されている。
ベネズエラ産エネルギーへの25%「二次関税」 地政学リスクと資源戦略の交錯
トランプ政権は、ベネズエラから石油・ガスを輸入する第三国に対しても、米国との取引時に25%の「二次関税」を課すと発表した。この措置は、同国とのエネルギー取引を継続する国々に対して制裁的な性格を持ち、従来の貿易関税とは一線を画す。発動は4月2日とされ、すでに原油市場はこの発表を受けて価格上昇の反応を示した。
ベネズエラはトランプ氏の演説で「暴力的な性質を持つ移民を送り込んだ」と名指しされ、国内外政策の両面で標的とされている。今回の関税は、同国の政権への圧力に加え、資源供給網の地政学的な再構築を促す狙いを持つと考えられる。関税による価格調整は、米国内のエネルギー産業支援とも連動しており、複数の目的が交錯する政策といえる。
ただし、第三国に対する制裁的関税は国際法上の正当性を問われる可能性があり、WTOや国際世論との軋轢が避けられない。また、エネルギー供給の多角化が進む中で、こうした一方的な政策が逆効果をもたらす恐れも残る。今後の国際的な反応と、それによる貿易構造の変化には注意を要する局面となる。
Source:reuters