Oracle株(ティッカー:ORCL)は1月高値から17%下落し、現在は154.88ドルで推移している。フリーキャッシュフロー(FCF)はAI関連の設備投資増により3四半期連続で減少、最新データでは58億ドルと前々期比で半減した。しかし、同社はデータセンター容量の倍増を進めており、将来的なFCF回復と売上高の成長が予測されている。
アナリスト予測では、2026年5月期のFCFは最大260億ドルに達する可能性があり、株価は1年以内に232ドルに上昇するとの試算もある。配当は25%引き上げられ、バリュー投資家の関心が高まる中、割安な株価水準が注目を集めている。
さらに、アウト・オブ・ザ・マネー・プットの売却戦略により、株価下落リスクを抑えつつ安定収入を得る手法も現実的選択肢として浮上している。
AI投資がFCF圧迫 設備投資149億ドルの背景に見る成長戦略

Oracleは2025年度第3四半期までの12か月でフリーキャッシュフロー(FCF)を58億ドルと報告し、これは前期の95.4億ドル、前々期の115億ドルから大幅な落ち込みを示している。主因はAIインフラ拡充に伴う設備投資の急増であり、1年間の総額は149.3億ドルに達した。前年同期の107.4億ドルと比較して約39%増であり、そのうちの42億ドルがFCFの減少に直結している。
会長兼CTOであるラリー・エリソン氏が言及した「年内のデータセンター容量倍増」も、コスト増大の背景にある。Oracleは急増するAI関連需要に対応するため、クラウド基盤の整備を最優先課題としており、設備投資は今後も継続する可能性がある。短期的なFCFの圧迫は不可避であるものの、同社は将来のキャッシュ創出能力の回復を前提とした戦略に舵を切っている。
こうした成長投資の結果、Oracle取締役会は配当の25%増額を決定した。これは、株主還元姿勢を強調しつつも、長期的なキャッシュフロー増加への確信を持つ姿勢の表れと見られる。ただし、過去の高水準FCFに依存した評価指標は一時的に機能しづらく、投資判断には時期尚早との見方も慎重に考慮されるべきである。
株価評価の分岐点 複数シナリオに基づく成長期待と慎重姿勢
2026年5月期の売上高はアナリスト予測で652億ドルとされ、仮にFCFマージンが40%へと回復すれば、FCFは260億ドル超へと拡大する試算となる。現在の58億ドルからは実に4倍以上の増加となり、この仮定が成立する場合、時価総額は6,500億ドルに達しうる。現在の株価水準を前提とすれば、1年以内に株価は232ドルに達する可能性があるとされる。
一方で、アナリストの目標株価には幅がある。Yahoo! Financeでは平均186ドル、AnaChartでは171ドル台と、いずれも現在の154ドル水準から10~20%程度の上昇余地にとどまる。これはOracleの成長見通しを評価しながらも、短期的なキャッシュフロー減少やAI分野での競争激化を織り込んだ慎重な見通しと解釈できる。
重要なのは、評価モデルに用いられるFCFマージンや利回りが前提条件に大きく依存している点である。仮にAI需要が想定を下回り、マージンが回復しなければ、現在の時価総額は妥当範囲とみなされかねない。投資判断においては、過度に楽観的なシナリオのみに基づく評価は避け、複数のシナリオを冷静に比較する視点が不可欠である。
OTMプット売却という防衛的戦略 利回りとリスクのバランスに注目
Oracle株の足元のボラティリティを活用した防衛的な戦略として、アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)プットの売却が現実的な選択肢として浮上している。例えば4月25日満期の145ドルプットを1契約あたり2.30ドルで売却すれば、1か月で1.59%、3か月連続なら4.76%の収益が見込まれる。損益分岐点は142.70ドルで、現在価格より7.9%下に位置づけられる。
この手法は、新規にOracle株を取得したい投資家にとって、下落時の取得コストを下げる手段となり得る。同時に既存ホルダーにとっても、保有コストを下げつつプレミアム収入を得る一石二鳥の戦略となる。しかしながら、株価が大きく下落した場合は実質的な含み損が発生するため、一定のリスク管理が求められる。
Barchartの提供する「オプション学習センター」などで、こうした戦略に関する知識を事前に蓄積することが前提となる。短期的な価格変動に過敏にならず、中長期の視野でポジション構築を行う者にとっては、現金効率の高い収益モデルとして検討に値する手法である。ただし、市場の不確実性が高まる局面では、流動性やボラティリティに注意を払う必要がある。
Source: Barchart.com