Appleが生成AI分野に向けて、未発売のNvidia製「NVL72」サーバーを最大250台、総額10億ドル規模で導入しようとしていると、Loop Capitalのアナリストが明かした。これらの高性能サーバーは1台あたり最大400万ドルとされ、AppleはSuper Micro ComputerやDellと連携して構築を進めているという。

Appleはこれまで、自社開発のApple Siliconを用いたAIサーバーの運用を強調してきた。2024年9月にはCraig Federighi氏が、Apple Intelligenceのプライバシー重視設計の要と発言していたが、Nvidia導入の報道が事実であれば、戦略の一貫性が問われることになりそうだ。

用途が開発目的に限られる可能性もあるが、LLM運用を視野に入れたNvidiaクラスタ導入が現実であれば、AppleのAI戦略は転換点を迎える局面にあると考えられる。

Nvidiaの未発売サーバー「NVL72」導入とAppleの狙い

Loop Capitalのアナリスト、アナンダ・バルア氏によれば、Appleは生成AI開発のためにNvidiaの最新鋭サーバー「NVL72」を250台前後発注し、その総額は約10億ドルに達する見通しだという。NVL72は、Grace CPUを36基、Blackwell GPUを72基搭載したハイエンド構成で、2025年3月時点では市場に出ていない。

1台あたり370万~400万ドルという価格帯からも、導入目的が試験的な小規模運用ではなく、大規模な開発・研究を想定していることがうかがえる。Appleは長らくApple Siliconを軸にAI基盤を構築していると説明してきたが、この動きはそれとは別の技術系統を並行して進めていることを示す。

Super Micro ComputerやDellとの連携も含め、Appleがクラウドインフラ全体の多様化と拡張を意図している可能性がある。現段階では生成AIのトレーニング用途に限定される可能性がある一方、今後の汎用AI提供を見据えた布石とも取れる動きである。

Apple Silicon上のプライバシー優位性を訴えてきた企業姿勢とは一線を画すこの方針転換が、一過性のものなのか、戦略的再編なのかが今後の焦点となる。

Apple Silicon重視の姿勢との齟齬と、その戦略的含意

Craig Federighi氏は2024年9月、「Apple Intelligence」のプライバシー設計において、自社製Apple Siliconサーバーの使用が中核であると明言していた。加えて、サーバー上で動作するソフトウェアには全て署名を求める信頼モデルも導入し、安全性と透明性の確保を強調してきた。

しかし、今回明らかになったNvidiaサーバーの大規模調達が事実であれば、AppleがApple Silicon一本でAI領域を推進するという前提は揺らぐ。AppleがApple Siliconをデバイス側およびクラウド処理に利用しつつ、生成AIのトレーニングやLLM開発には他社製GPUを活用するという二層構造の戦略に踏み切った可能性がある。

この場合、Apple Siliconの優位性を維持しながら、外部技術との融合によって生成AI競争に本格参入する意図が見える。ただし、これが同社のプライバシー重視の姿勢と完全に整合するとは限らない。あくまで開発専用に留まるのであれば問題は小さいが、将来的にユーザーサービスへと接続するならば、技術的・倫理的整合性の再構築が求められる局面となり得る。

Source:AppleInsider