アーク・インベストメントのキャシー・ウッド氏は、テスラ株が今後5年で2,600ドルに達する可能性を示唆し、現在の株価から8倍超の成長を見込んでいる。成長の核となるのは、企業価値の9割を占めるとされるロボタクシー事業であり、特にオースティンでの商用化や自動運転技術の優位性が注目されている。
販売減少に直面する欧州や中国市場、32%の年初来株価下落、そしてアナリストによる悲観的な出荷見通しとは対照的に、ウッド氏はテスラの競争力と技術革新に強い信頼を寄せている。BYDを含む競合他社がロボタクシー市場に未参入である点も、今後の展開において追い風となる可能性がある。
同氏が率いるARKイノベーションETFでは、テスラの構成比率が年末の16%から10%へと縮小したが、依然として主力銘柄であり続けている。株価評価に織り込まれていないヒューマノイドロボット開発への期待も加わり、従来型自動車産業に対する破壊的プレーヤーとしての位置づけが強調されている。
テスラ株に対する強気姿勢とロボタクシー事業への集中投資

キャシー・ウッド氏が率いるアーク・インベストメントは、2024年のテスラ株32%下落や欧中市場での販売不振を受けても、同社への投資比率を高水準に維持し続けている。同氏は、5年以内にテスラ株が2,600ドルへと上昇するとの予測を示し、その成長の中心はロボタクシー事業にあると明言している。ロボタクシーは同社の企業価値の90%を構成する可能性があるとされ、特にオースティンでの商用展開がその足掛かりになる見通しである。
販売台数が欧州で10か月連続減少、中国でも地政学的な逆風が強まる中、競争環境は厳しさを増している。BYDが年間売上でテスラを上回った点も注目されるが、ロボタクシー領域ではまだ明確な競合にはなっていない。こうした環境においてもウッド氏は、Model Yの刷新や低価格モデルの導入、そして自動運転技術の進化を根拠に、テスラの成長余地を評価している。
短期的な需給動向ではなく、次世代モビリティの覇権を見据えた視座が同氏の投資判断を支えていることは明らかであり、これは従来の自動車メーカーとの根本的な視点の違いでもある。
株価が織り込まない技術革新とヒューマノイドロボットの影響
キャシー・ウッド氏はテスラの成長要因として、自動車事業を超えた革新的領域、すなわちヒューマノイドロボットの開発を挙げている。これらの技術は現時点で株価に十分に反映されておらず、将来的に大きなバリュエーション変動をもたらす潜在力を秘めているとされる。従来の自動車企業とは異なり、テスラはAIとロボティクスを核にしたプラットフォーマーへの進化を志向している。
アーク社の主力ETF「ARKイノベーションETF」では、テスラの保有比率がピークの16%から10%に下がってはいるが、依然として中核銘柄の地位にある。その背景には、今後の収益源として期待される新規技術への強い信頼がある。ロボタクシーやヒューマノイドロボットといった領域は、今後の市場評価を大きく左右するテーマであり、従来の販売台数や出荷計画といった短期指標では測れない要素を含んでいる。
ただし、技術的なブレークスルーが実現されるか否かには不確定要素が多く、評価が先行しすぎた場合は市場の反動も想定される。ゆえに、これらの技術が実際に収益化されるかを見極めることが、今後の投資判断における分水嶺となる。
Source:Wall Street Pit