2025年3月25日、トランプ・メディア(DJT)はCrypto.comとの提携を発表し、同日株価は最大13%上昇した。提携によりETFやETPの組成が計画され、年内には米国主導型で国際展開される見通しとされる。Crypto.comは世界1億4,000万人のユーザーを抱えており、仮想通貨市場との連携は注目される動きだ。
しかし、DJT株は年初来33%以上下落しており、昨年度の4億ドルの損失やわずか360万ドルの収入といった財務面の脆弱さが依然として重荷となっている。今回の提携は市場への短期的影響はあれど、根本的な業績改善には至っていない。
加えて、ウォール街の主要アナリストによる評価がなされていない点も問題視されており、機関投資家の関心を引けていない状況が続いている。市場の期待と実態のギャップが、今後のボラティリティを一段と高める可能性がある。
ETF戦略による市場参入とCrypto.comの役割

トランプ・メディアがCrypto.comとの提携を発表したのは、2025年3月25日である。両社はこの連携を通じて、ETFおよびETPの設立を目指す方針を明示した。計画によれば、規制当局の承認を前提としつつ、年内には「アメリカ製」にこだわった商品を国際市場で展開する意向を示している。この取り組みは、従来の保守的な資産運用の枠を超え、仮想通貨との融合による革新的な商品設計を志向するものである。
提携相手であるCrypto.comは、すでに全世界で約1億4,000万人のユーザー基盤を持ち、グローバルなリーチを強みにしている。この規模のネットワークを活用することで、DJTはこれまでアクセスできなかった層への訴求が可能になる。ただし、実際のプロダクトローンチには、法的なハードルと市場の受容という2つの壁が存在することも否めない。
新商品の中核となるETFは、通常の株式や債券と異なり、流動性や透明性を重視する投資家層に訴求しやすい金融商品である。トランプ・メディアがこの領域に参入する意図は明白で、保守的な支持基盤のみならず、金融分野での信頼獲得を図る動きと見ることができる。しかし、既存の収益基盤が脆弱な現状において、この新事業がどこまで経済的成果に結びつくかは未知数である。
財務基盤の脆弱さが株式評価に与える影響
DJT株は今回の提携報道により一時的に13%上昇したものの、年初来で見れば依然として33%以上の下落を記録している。この乖離は、市場が一過性の材料に反応している一方で、企業の根幹的な価値に対する不信感が拭えないことを示している。2024年度の実績では、トランプ・メディアは売上360万ドルに対し、損失が4億ドルに達しており、極めて不均衡な財務構造に陥っている。
このような状況において、新たな金融商品による成長戦略が語られたとしても、投資家の目はまず既存事業の健全性に向けられるのが自然である。特に、同社は主要な証券アナリストからのカバレッジが存在しておらず、金融市場における認知度や信頼性が著しく欠如している。これにより、機関投資家からの関心を引き寄せる土台も形成されていない。
加えて、2025年後半にかけて米国経済がリセッションに向かうとの観測が根強く残るなか、収益の不確実性が高いDJT株は一層のリスク資産とみなされる可能性が高い。投機的な値動きに期待をかける向きもあるが、持続可能な成長ストーリーが描けない限り、長期的な保有判断を正当化する根拠にはなり得ない。市場が真に求めているのは、話題性ではなく収益性に裏打ちされた戦略である。
Source: Barchart.com