サムスンディスプレイが、量子ドットOLED(QD-OLED)を軸にした次世代ディスプレイ戦略を強化している。米国国際貿易委員会(USITC)が中国BOEによる特許侵害を認定し、サムスン側に有利な判断を下したことで、2025年に向けた技術開発と市場展開の弾みとなった。

特に注目されるのが、500Hzのリフレッシュレートと0.03ミリ秒の応答速度を誇る27インチQHDモニターで、従来のLCDを凌駕するスペックである。サムスンはQD-OLEDパネルの出荷量を前年比50%増とする目標も掲げ、すでに販売攻勢の構えを見せている。

BOEによる特許侵害を米ITCが認定 サムスンの訴訟が技術戦略に影響

米国国際貿易委員会(USITC)は、BOEがサムスンディスプレイのOLED関連特許を侵害していたとの初期判定を支持し、米国内の卸業者も含めた複数件の侵害を認定した。対象となったのは、サムスンの「ダイヤモンドピクセル」などを含む5件の技術で、これによりサムスンは2022年から提起していた訴訟において重要な前進を得たことになる。PTAB(特許審判部)もこれらの特許のうち4件を有効と判断しており、権利保護の根拠は強固であると見なされている。

現時点では販売や輸入の差し止め措置は下されていないが、同様の訴訟が米テキサス州で進行中であり、今回の判定が他訴訟にも影響を及ぼす可能性は否定できない。また、サムスンは特許とは別に、BOEが営業秘密を不正に取得したとする追加の申し立ても行っており、USITCは今月末までに初期判断を下す予定だ。

こうした一連の動きは、OLED市場における競争構造だけでなく、技術的優位性を維持するサムスンの姿勢を明確に示すものといえる。ユーザーとしては、信頼性の高い製品が特許で裏打ちされていることの意味を再認識する場面である。

500Hzリフレッシュ対応のQD-OLEDモニターが示す性能の本気度

サムスンディスプレイが2025年に向けて準備しているQD-OLEDパネルの中でも、27インチQHDモニターの仕様が際立っている。解像度2560×1440に加えて、リフレッシュレートはなんと500Hzに到達し、応答速度も0.03ミリ秒という高速を実現。自己発光型の特性を活かし、残像を抑えた極めて滑らかな映像表現が可能となっている。このスペックはゲーミングや高負荷の映像用途において圧倒的なアドバンテージとなり得る。

また、昨年のQD-OLEDパネル出荷実績が143万台だったのに対し、今年は50%以上の増加を見込んでいる点も見逃せない。これは単なる強気の目標設定ではなく、量産体制と市場需要の裏付けがあってこその動きとみられる。特にQD-OLEDは従来のLCDと比べ、コントラストの深さや発色の鮮やかさで大きく差をつけており、製品体験の質に直結している。

スペックだけでなく、日常の映像体験を大きく変えるポテンシャルを備えたこの新型モニターは、高性能を求める層にとって注視すべき存在となる。

Source:Patently Apple