ウォール街のアナリストが平均目標株価268.18ドルを提示し、現在値から31%超の上昇余地を見込むAmazon株に注目が集まっている。業績は堅調でありながら年初の株価は停滞しているが、背景には市場の不透明感や対外政策への懸念があるとされる。

今後の成長ドライバーとして、まずEコマース事業が堅調に拡大しており、配送効率化や品ぞろえの最適化などで収益性の強化が進む。加えて、広告事業が年690億ドル規模に達し、Prime Video広告の伸長も顕著である。

さらに、Amazon Web Services(AWS)が営業利益の過半を担い、クラウド需要と生成AIの拡大が追い風となる。これら三事業の相乗効果が、株価の反発を下支えする構図となっている。

Eコマースの堅調な成長が業績の下支えに

AmazonのEコマース部門は、不透明なマクロ環境下にあっても継続的な成長軌道を維持している。価格競争力のある商品展開に加え、「Amazon Haul」のような新たな購買体験の導入が利用者層の拡大を促しており、利便性を武器に顧客基盤を着実に広げている。また、即日配送網の拡充や在庫配置の最適化によって配送効率が向上し、Prime会員数も増加傾向にある。

加えて、物流の地域化による輸送コストの削減や梱包資材の最適化といった内部施策も、収益性の改善に寄与している。製品単位での配送コストは2年連続で減少し、同時に商品選択の幅も広がっている点は注目に値する。これらの取り組みは短期的な成長ではなく、持続的で収益性の高い事業モデルを確立するための戦略といえる。

ただし、同分野における競争は依然として激しく、他社との差別化をいかに維持・強化できるかが中長期の鍵となる。拡張を続ける物流ネットワークとテクノロジー導入のスピードが、Amazonの競争優位性を保持する重要なファクターとなるだろう。

広告事業の加速とPrime Videoによる新たな収益源

2024年第4四半期における広告収入は173億ドルに達し、前年同期比で18%の成長を記録した。年間換算では690億ドル規模にまで膨らんでおり、4年前の290億ドルと比較しても倍以上の拡大を見せている。なかでも「スポンサー商品」が中核を担い、検索結果上における視認性の高さと購買直結性が高い評価を得ている。

一方、動画配信プラットフォームであるPrime Videoにおける広告施策も成長を加速させている。従来の購買導線とは異なる視覚的アプローチが可能となり、新たな広告主の流入や視聴者の接点拡大に貢献している。特にストリーミング広告市場は今後さらなる拡大が見込まれ、広告事業全体の多角化に寄与すると考えられる。

ただし、広告領域の競合も激化しており、他プラットフォームとの差別化と広告効果の可視化が今後の持続的成長には不可欠である。ユーザー体験を損なわずに収益を確保するバランス感覚が、同部門の成熟度を左右することになる。

AWSの高収益構造とクラウド需要の継続性

Amazon Web Services(AWS)は、2024年第4四半期において288億ドルの収益を記録し、前年同期比18.9%の増加を実現した。同社の営業利益全体の58%超を占めるこのクラウド部門は、Amazonにとって最大の収益源であり、事業全体の財務健全性を支える基盤となっている。従来型のオンプレミスからクラウドへの移行が進むなかで、AWSの包括的なサービス提供能力とセキュリティ体制は多くの企業から支持を集めている。

また、生成AIを活用したワークロードの急増が、AWSに新たな成長の起点をもたらしている点も見逃せない。処理能力や柔軟な構成が求められるAI分野において、同社のインフラは高い適合性を示しており、新規顧客の獲得や既存顧客の利用拡大につながっている。コスト効率の改善にも継続的に取り組んでおり、スケールメリットを活かした利益率の向上が期待されている。

もっとも、クラウド市場全体の成熟化と価格競争の激化が今後の不確定要素となる可能性は否定できない。サービス品質と価格設定の両面で優位性を維持できるかが、AWSの持続的成長を左右する鍵となるだろう。

Source:Barchart