Microsoftは、Windows 11 24H2のBetaチャンネル向けにビルド26120.3585(KB5053644)をリリースし、IntelおよびAMD製のCopilot+ PCで動作するWindows Search機能を大幅に刷新した。ローカルセマンティック検索機能の導入により、「夕日の橋」や「ヨーロッパ旅行予算」といった自然な言語による検索で、PC内やクラウド上の画像・文書を容易に見つけられるようになった。
この改良は、Copilot+ PCに搭載される40TOPS以上のNPUのAI処理能力を前提としたもので、インターネット接続がない状態でも機能する点が特徴だ。また、クラウドに保存されたOneDriveの写真も検索対象に加わり、個人アカウントではより広範な検索体験が可能となっている。
導入は段階的に行われており、機能を有効にするにはPCの再起動が必要な場合もある。対象言語には日本語も含まれており、検索対象は.txt、.pdf、.jpg、.docxなど多岐にわたるファイル形式に対応する。
Copilot+ PCに最適化されたローカルセマンティック検索の仕組みと範囲

今回のWindows 11ビルド26120.3585(KB5053644)では、AMDおよびIntel製のCopilot+ PCに向けたローカルセマンティック検索機能が導入された。この機能は、.txt、.pdf、.docx、.jpgなどのファイル形式を対象に、自然言語での検索に対応する。たとえば「夏のピクニック」や「ヨーロッパの城」といった語句を入力するだけで、該当する画像やドキュメントが瞬時に抽出される仕組みである。
この検索能力は、Copilot+ PCに搭載される40TOPS超のニューラルプロセッシングユニット(NPU)によるローカルAI処理を前提としており、ネットワーク接続の有無に左右されないことが特筆される。検索はファイルエクスプローラー、タスクバーの検索ボックス、設定画面から統一的に実行でき、日本語を含む6言語に対応している。
従来のWindows Searchはファイル名や保存場所への依存が大きく、記憶を頼りに検索対象を特定する必要があった。今回の改良により、ユーザーは検索意図に沿った表現で目的の情報に辿り着ける可能性が広がるが、セマンティックインデックスの精度や範囲には現段階で限界もあると見られ、継続的な改良が鍵となる。
クラウド連携による検索体験の拡張と法人利用への課題
Microsoftは今回のアップデートにおいて、個人のOneDriveアカウントに保存された画像データを検索対象に加える機能も導入した。これにより、ローカルとクラウドの写真が同時に検索結果に表示され、「夕焼けのビーチ」や「運動会の写真」などの表現でクラウド上の画像に容易にアクセスできるようになった。
この機能は個人向けアカウントでサインインしている場合に限られ、法人用のEntra IDではファイル内テキストの検索にとどまっている。
また、この機能を有効化するためには、Windows Searchの設定メニューでのインデックス構成やPCの再起動が必要となる場合があり、導入はInsider Program参加者向けに段階的に進行中である。クラウド内データの活用が進む中、検索対象の多層化は利便性を高める一方で、セキュリティとプライバシーの観点から慎重な設計が求められる領域である。
現時点では、OneDrive以外のクラウドサービスとの統合は予定段階にとどまり、ビジネス環境で主流となっている他社製ストレージとの連携がどのように展開されるかは不透明である。将来的な検索対象の拡張が実現すれば、業務効率化に資する新たなインターフェースとして注目される可能性があるが、まずは個人向けの体験精度が評価の焦点となる。
Source:Neowin