ASRockは、自社のAM5マザーボードで発生したRyzen 7 9800X3Dの起動不能問題について、ソケット内の異物除去により修理なしで復旧したと発表した。内部調査では、物理的損傷は見られず、清掃後は長時間のストレステストにも耐えたと報告。
この障害は当初、ASRock製品特有の不具合とする見方があったが、MSIやASUS製マザーボードでも類似の事例が報告されており、マザーボード側の単独原因とは断定できない状況である。
一部ではメモリとの相性やユーザーの誤装着の可能性も指摘されていたが、現時点で最も有力な要因はソケット内異物の混入とされており、引き続き多角的な検証が求められる。
AM5ソケットの清掃が起動障害を解決したASRockの検証結果

ASRockはRyzen 7 9800X3Dに関連する起動不能の問題に対し、AM5マザーボードのソケット内に異物が混入していたことが主因であったと結論づけた。社内で回収した複数のマザーボードとCPUの組み合わせを用いて詳細なテストを実施した結果、いずれのケースでもソケットに目立った物理的損傷は確認されなかった。
特に焼損したCPUと組み合わせたマザーボードについては、CPU電源供給エリアに焼け跡もなく、計測値は全て仕様範囲内に収まっていたという。
同社はソケットの異物除去後に再度同一構成で動作検証を行い、修理なしで正常な起動と長時間のストレステストをクリアしたと報告している。この結果を裏付けるかたちで、AM5ソケットのビフォーアフターの写真も公表し、異物除去前後の状態を明示した。これにより、Ryzen 7 9800X3Dの起動不能の原因としてソケット内の微細な異物の存在が影響を与える可能性が高いことが浮き彫りとなった。
異常報告の拡散とメーカー横断の問題構造
Ryzen 7 9800X3Dの障害報告はASRock製マザーボードに集中していたが、MSIのX870E Tomahawk WiFiをはじめ、ASUSやGigabyteの製品でも同様の現象が複数確認されている。
これにより、問題の本質が特定ベンダーの設計不備に帰結するものではなく、AM5プラットフォーム全体に関係する要素である可能性が強まった。さらに、一部のユーザーは特定のBIOSバージョンによる起動不能を指摘しており、ソフトウェア的な要因にも関心が集まっている。
ASRockは問題の軽減策としてBIOSの更新を先月実施していたが、調査の結果、当初疑われたメモリとの相性や不具合は確認されなかった。
加えて、CPUの焼損がユーザーの装着ミスや圧力不均衡によるものかどうかは明確になっておらず、今回の異物除去による復旧がすべてのケースに当てはまるとは言い切れない。各社マザーボードでの事例が広がっている現状を踏まえると、AMD本体によるより広範な検証と介入が必要な局面にある。
Source:Wccftech