AMDが新たに発表したGPUシリーズに搭載されたFSR 4は、ソニーと共同開発されたAIアップスケーリング技術であり、発売直後に完売が続出するほどの注目を集めた。現時点ではRX 9070専用として30本の対応タイトルが発表されているが、FSR 4の性能を活かしきるには更なるゲーム対応が不可欠とされている。

同社のマカフィー副社長は、開発者の関心の高さを強調しつつ、グローバルなゲーム開発者との連携によって次期大型タイトルへの対応拡大に注力していると説明。ゲーム体験の質的向上を訴求し、FSR 4普及の起爆剤とする構えを見せている。

AIフレーム生成を軸とした描画技術の競争は激化しており、DLSS 4との比較も避けられない中、AMDは自社技術の独自性と対応環境の拡大で市場の主導権を握ろうとしている。

ソニーとの共同開発で進化したFSR 4、その技術的背景と現状の対応タイトル状況

FSR 4は、AMDとソニーが連携して生み出した最新のAIアップスケーリング技術であり、GPUアーキテクチャ「RDNA 4」の力を最大限に引き出す中核技術とされる。RDNA 3世代から一段と進化し、より高精細で滑らかな描画が可能となったことが注目されている。この技術は、発売と同時に完売したRX 9070に標準搭載されており、性能と需要の高さを如実に示している。

発売時点でFSR 4に対応するタイトルは30本にとどまり、そのうち3本は「Marvel’s Spider-Man」シリーズに該当する。PCguideの情報によれば、これらの対応作品は限られており、ユーザー体験の最大化にはさらなるタイトル拡充が不可欠とされている。AMDはこの課題を認識しており、既に対応ゲームの増加に向けた取り組みを進めている。

AMDのマカフィー副社長は「FSRへの関心は非常に高い」と述べており、ソニーとのパートナーシップが開発者との連携強化に貢献していると明かす。世界中のスタジオとの協業を通じ、今後リリース予定の大作ゲームにもFSR 4を搭載する方針を打ち出している。この戦略が実現されれば、FSR 4の普及は一気に加速する可能性がある。

技術競争が加速する中でのFSR 4の立ち位置と今後の普及課題

AIを活用したフレーム生成技術は、今や描画技術の主戦場である。FSR 4とNvidiaのDLSS 4は、いずれもAI処理による画質向上とパフォーマンス最適化を図るが、その技術的アプローチやハードウェア要件には差異がある。FSR 4はRX 9070カード専用とされ、現段階ではその利用者が限られている点が最大の課題である。

AMDは日本市場で約45%のシェアを保持しているが、FSR 4に対応するユーザーの絶対数は限定的と考えられる。入手困難な最新カードと対応タイトルの不足が、技術の魅力を一般ユーザーに伝えきれていない原因となっている。こうした状況は、ゲームの選択肢や購買行動にも影響を及ぼし得る。

一方で、AMDが示す「開発者の関心の高さ」や「大作ゲームへの搭載推進」は、市場拡大のための布石とも受け取れる。特に、グローバル展開を視野に入れた戦略が功を奏すれば、ユーザー層の拡大とともにFSR 4の真価が問われる局面が訪れる。技術革新のみならず、対応環境と普及戦略の両輪が今後の命運を分ける要素となる。

Source:PC Gamer