火曜日のアジア市場で金価格は小幅に上昇し、現物は1オンスあたり3,015.51ドル、先物は3,048.05ドルを記録した。トランプ前大統領が4月2日に発動予定の関税措置が一部の主要産業を除外するとの見方が広がり、懸念は後退。一方で政策の影響範囲には依然不透明感が残り、安全資産需要が継続している。

投資家は、PCE価格指数と第4四半期GDP改定値の発表を控え、米経済と金利動向に対する慎重姿勢を強めている。こうした状況下で金は節目の3,000ドル台を維持し、銀やプラチナ、銅など他の金属も総じて堅調な動きを見せている。

市場はリスク選好の回復と、ドル安による支えの中で揺れ動き、今後の経済指標が相場の方向性を左右する可能性が高まっている。


金市場に漂う安心感と依然残る政策リスク

火曜日のアジア市場における現物金価格は1オンスあたり3,015.51ドル、5月限先物は3,048.05ドルといずれも小幅ながら上昇し、過去最高値の水準に迫る展開となった。背景には、トランプ前大統領が発動を予定する関税が、当初の予想よりも軽微であるとの報道が影響している。半導体や自動車、医薬品といった主要セクターが対象から除外されるとの観測が強まり、これが投資家心理を一定程度安定させた。

しかしながら、関税の最終的な中身や対象国に関する不確実性は払拭されておらず、依然として市場では安全資産としての金に対する需要が根強い。現時点で判明しているのは、報復関税が15カ国程度に限定される可能性があるという点にとどまり、貿易政策の全体像は見通せていない。こうした曖昧な政策環境が、投資家にとってリスク回避的行動を促す構図を生み出している。

トランプ政策が市場にもたらす影響は一義的ではなく、仮に経済指標が弱含めば、政策の持つ市場混乱リスクが再燃することも想定される。金価格の持続的な上昇ではなく、揺れ動く状況が続く可能性に留意する必要がある。

銅と銀が映し出す供給構造と世界経済のひずみ

同日の市場では、金と並び銅や銀といった産業用金属にも上昇の動きが見られた。特にロンドン金属取引所における銅は0.4%上昇し、1オンスあたり9,989.60ドルに達したほか、5月限先物も0.9%上昇して1ポンドあたり5.1280ドルとなった。価格上昇の背景には、米国の輸入関税に加え、中国の製錬所の一部閉鎖により供給不足の懸念が強まっていることがある。

これは単なる価格のテクニカルな変動ではなく、グローバルな供給体制の脆弱性が再び浮き彫りになった結果である。特に銅は電気自動車やインフラ整備の核心素材であり、供給網への不安が広がることで、製造業や建設業へのコスト圧力が高まりかねない。銀も0.7%上昇し、1オンスあたり33.673ドルに達したが、こちらも工業用途の高さから経済活動の影響を強く受けやすい金属である。

今後の金属相場は、米中両国の政策決定や需給動向、さらに為替市場の変動と密接に連動していくことが予想される。現時点では供給リスクに対する反応が中心だが、需要面の鈍化が表面化すれば反動安も視野に入るだろう。金属価格の動向は、単なる資源の価値を超えて、経済の健康度を測る一つのバロメーターとして注視されるべき局面にある。

経済指標が左右する今後の金利観測と相場動向

今週は米国経済の方向性を占う2つの主要指標が控えている。まず木曜日には第4四半期のGDP改定値が発表され、続いて金曜日にはFRBが注視するインフレ指標、個人消費支出価格指数(PCE)が公表される予定である。特にPCEは、FRBの目標である年率2%を大きく上回ると見られており、市場参加者の間では金利引き上げ圧力が再燃する可能性が意識されている。

これらのデータは、現在の金相場が抱える「高止まりリスク」にも直結する。仮にインフレ指標が予想を超える強さを示せば、FRBが再びタカ派姿勢を強める可能性が生じ、金利上昇は金の相対的魅力を削ぐ方向に作用する。一方で、GDP成長が鈍化すれば景気後退への懸念が高まり、安全資産需要が金価格の支えとなる構図が浮かび上がる。

こうした複雑な要素が交錯する中で、金価格は3,000ドルの節目を軸に揺れ動く展開が続くとみられる。投資家にとっては、単に価格水準を追うのではなく、経済データの持つ意味と金利政策の方向性を照合する高度な判断が問われる局面にある。金は今、単なる価値の保存手段ではなく、金融政策の鏡としての側面を色濃くしている。

Source: Investing.com