Appleが2024年夏のiPhone 16発表時に約束した生成AI搭載のSiri改良版は、当初予定されていた2025年のリリースから2026年へと延期された。WWDC24で披露されたのは実機デモではなく、あくまで構想段階のビデオに過ぎず、実際の実装は未定のままである。

この状況により、iPhone 16購入者は事実上「未実装機能」を含めた製品に対価を支払った可能性があり、一部報道では集団訴訟の可能性も指摘されている。Appleの先行発表は、期待値の操作が裏目に出た典型例として批判を招いている。

一方、AI機能の実装で先行するサムスンやGoogleは、Appleを競争に巻き込みつつ、自らの技術力と信頼性をアピール。結果としてAppleは追い込まれ、テクノロジー企業における「期待の売り方」が改めて問われる局面となっている。

改良版Siriの提供延期と「存在しない機能」を巡る顧客の混乱

Appleは、2024年9月にiPhone 16を発売する際、生成AIを搭載した改良版Siriの提供を2025年と約束していた。しかし、実際にはWWDC24で披露されたのはコンセプト映像にすぎず、現時点で実機上のSiriには新機能は実装されていない。その後、Appleはこの機能の提供を2026年に延期すると正式に発表し、当初のロードマップから大きく後退した形となった。

iPhone 16の購入者は、高額な製品代金に見合うAI体験を得られていない状況であり、「将来的な機能を含めた製品」という曖昧な価値提供に対して、失望の声が広がっている。特に、AI機能の目玉として打ち出された新Siriが長期間にわたり未実装のまま放置されれば、今後のApple製品に対する信頼性が大きく揺らぐ懸念がある。

Appleにとって最も深刻なのは、顧客との期待値のギャップが拡大する中で、法的リスクが現実味を帯び始めている点にある。情報元であるPYMNTSは、米国内で集団訴訟に発展する可能性を指摘しており、Appleが今後の広報戦略と機能開発の整合性を再構築できるか否かが、企業価値にも影響しかねない局面に突入している。

AI競争の構図とAppleが直面する戦略的失敗

サムスンは、Galaxyシリーズに生成AI機能をいち早く導入することで、市場における革新性を主張し続けてきた。これによりAppleは、競合に後れを取らぬようAI対応の方針を急速に打ち出したが、結果として形ばかりの約束にとどまり、製品の中身が伴っていないことが露呈した。

特にOne UI 7の遅れが指摘されていたサムスンとは対照的に、Appleの対応は信頼性の面で大きく劣後する格好となった。AI技術において、Appleは独自路線を貫いてきたが、Googleの生成AI技術やサムスンのGalaxy AIに押されるかたちで、焦燥感から不完全な構想を公表した側面は否めない。

AIの実装には膨大なリソースと明確なロードマップが求められるが、Appleの発表はそのどちらも伴わず、期待だけを先行させるリスクを拡大させた。テクノロジー分野において「未来を売る」ことは常套手段だが、具体性を欠いた技術的約束が逆効果を招く例として、今回のAppleの対応は典型である。

競争環境における劣勢を逆転させるには、単なる発表ではなく、実装レベルでの明確な成果が不可欠となる。そうでなければ、Appleというブランドが誇る革新性そのものが空洞化する危険がある。

Source:SamMobile