誰もが「見る」側だったXR(クロスリアリティ)の世界に、ついに“つくる”側として飛び込めるチャンスが来た。
Apple Vision Proとその専用OSであるvisionOSに特化した国際ハッカソン「VisionDevCamp Tokyo 2025」が、2025年4月、東京・LODGEにて初開催される。「Vision Proの可能性を広く知ってもらう契機にしたい」と運営チームの熱量も高い。
このハッカソン、ただの技術コンペティションではない。シリコンバレー発祥、数々のスタートアップやイノベーションを生み出してきた歴史を持ち、その門戸はエンジニアだけでなく、デザイナー、アーティスト、起業志望者、企画職、学生など、あらゆる“つくりたい人”に開かれている。
求められるのは「コード」だけではなく「好奇心」と「挑戦する意思」だ。
週末3日間、Vision Proという最先端デバイスを自由に使い、アイデアをプロトタイプとして形にする。そこでは、未来のスタートアップが生まれるかもしれないし、一生モノの仲間と出会えるかもしれない。はたまた、キャリアを変える好機ともなるかもしれない。
これは技術のイベントではなく、“未来を共創する体験”だ。Reinforz Insightによる運営チームへの独自インタビューを元に同イベントの魅力を明らかにする。
シリコンバレー発、伝説のハッカソンが日本にやってくる
VisionDevCamp(2024)(提供:VisionDevCamp Tokyo)
2007年、iPhoneの登場とともにシリコンバレーで始まったハッカソン「DevCamp」シリーズは、単なる技術コンペティションではない。OAuth、TestFlight、Obama ’08キャンペーン公式アプリ、Square(現Block)といったイノベーションの原点である。
その系譜を継ぐ「VisionDevCamp」が、ついに日本にやってくる。Apple Vision ProとvisionOSに特化したこの国際的ハッカソンが、2025年4月11日から13日の3日間、東京・LODGEで初開催される。オンラインと福岡サテライトも含めたハイブリッド形式で、世界中の“未来をつくる手”が集結する。
「︎Iwaken Lab.」や「KWDC」、「︎AWE Asia」、「XR Tokyo」、「Vision Hack」等、国内外で活躍するXRやApple関連のコミュニティがパートナーとしてサポートすることからもその注目度の高さが伺える。
また審査員はCyber AI ProductionsのXR エンジニアである服部 智氏、XR / Spatial Artistのせきぐちあいみ氏など日本のvisionOSエコシステムを牽引する豪華な面々が名を連ねる。
Vision Proを使ったプロトタイプを、週末でゼロからカタチにする
VisionDevCamp Tokyoでは、参加者は個人またはチームでvisionOS向けアプリケーションを開発する。事前のDiscordコミュニティやチームビルディングイベントを通じてアイデア出しやチーム編成も可能で、本番までに準備することもできる。
ハッカソン当日は、Vision Proや関連機材が会場に揃い、1日3食つきの快適な制作環境が提供される。非営利のボランティアによる運営により、参加費も可能な限り低く抑えられている。
また、同週には国内最大級のiOS開発カンファレンス「try! Swift Tokyo 2025」も開催される。両方に参加すれば、国内外の関係者とのネットワーキングの密度は高まるだろう。try! Swift Tokyoにも参加する場合、本運営にDiscordで連絡すれば特別割引を受けられる。
参加資格に“エンジニア”は不要。求められるのは、発想力と好奇心
「ハッカソン」と聞くと、コードを書く人たちの集まりだと誤解されがちだ。しかし、VisionDevCampの本質はそこにない。
むしろ重要なのは、新しい世界を描く想像力、プロダクトの本質を捉える視点、ユーザーの体験を設計する感性、そして他者と共に何かを生み出す力である。
運営チームによれば、実際に、米国で実施された過去のVisionDevCampでは、Apple Vision Proに初めて触れる初心者や、非エンジニアの参加者も活躍しており「参加は大歓迎」(運営チーム)とのことだ。
2024年に海外で開催された同ハッカソンでは、映像撮影技師とXRクリエイター兼教育者のコンビチームがベストストーリーテリング賞を獲得した。チームにエンジニアはいなかったが、ユニークなコンセプトを動くデモで披露し、観客を惹きつけたという。楽しさと魅力にあふれたストーリーをアプリに取り入れた。
「非エンジニア、初心者でも安心して取り組めるよう、チームビルディングやアイデア出しの機会を事前に設けている」と運営チームは語る。
「2024年に開催された初のVisionDevCampでも、Apple Vision Proを初めて触るという方が多数参加した。ベテラン開発者や専門領域を持つメンターがサポートする体制や、アイデア出しからチームビルド、実装までのプロセスをサポートする仕組みを用意している」とのことだ。
VisionDevCamp(2024)(提供:VisionDevCamp Tokyo)
専門知識を補うメンター陣も万全で、UnityやRealityKitのエキスパート、Apple JapanやSTYLY、XRアーティストらのエキスパートが技術・表現の両面から参加者を支援するため、「誰でも挑戦できる」(運営チーム)。必要なのは「つくってみたい」という原始的な欲望だけだ。
生まれるのはプロダクトだけじゃない。出会い、学び、そして未来
VisionDevCampの本質は、アウトプットそのものに加えて、共創のプロセスにある。
異なる背景を持つ人々が、同じビジョンに向かって手を動かし、ぶつかり、形にする。そこにはプロダクト以上の価値がある。 “どこまでつくり込めたか”以上に、“どんな問いを立て、どう対話し、何を学んだか”が重要だ。
オープンコラボレーションハブ LODGE(提供:VisionDevCamp Tokyo)


オンラインで他の参加者と交流することもできる(提供:VisionDevCamp Tokyo)
特にVision Proのような新しいインターフェースにおいては、エンジニアだけで完結しない。空間体験、UX、視覚表現、身体性…さまざまな視点が混ざり合って初めて可能性が開く。
「シリコンバレーを起源とするイベントであるために海外からの参加者も多い」と運営チームは語る。多くの人にとって、これまでの仕事や学びの延長線にはない、新たな価値創造の体験にもなるだろう。
「なんとなく気になる」から始める参加が、新しいキャリアの扉を開く
「これまでにも、VisionDevCampをきっかけにスタートアップを立ち上げ、資金調達に成功したチームや、ハッカソンでの成果を通じて外資系企業に転職した事例がある」と運営は明かす。
またVisionDevCampでは、入賞者への賞品やスポンサー企業からの特典が用意されるよう調整中だという。加えて、公式サイトやSNSでのプロモーション、メディア露出のチャンスもあり、プロダクトの広がりをサポートする環境がある。
VisionDevCapmは、単なる“週末の経験”ではなく、新しいキャリアや生き方の起点となり得るリアルなチャンスとなるかも知れない。
VisionDevCamp Tokyo 2025 開催概要
- 日時:2025年4月11日(金)~13日(日)
- 会場:LODGE(東京・永田町)+オンライン+福岡サテライト
- 内容:Apple Vision Pro・visionOSアプリケーションのハッカソン(個人またはチーム参加)
- 対象:エンジニア、デザイナー、クリエイター、学生、起業志望者、どんな職種でも可
- 参加方法:事前申込制
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