AI主導の成長と堅調な業績で注目されるパランティア・テクノロジーズ(PLTR)は、過去1年で株価が約291%急騰したが、ウォール街のアナリストの多くは現在の株価水準に慎重な見方を示している。GAAPベースの予想PERは173.3倍、予想P/Sは60.1倍と業界平均を大きく上回り、「割高」との評価が強まるなか、JefferiesやWilliam Blairのアナリストは目標株価やベータ値から下落リスクを指摘。

一部ではAIプラットフォームのROI事例や高い営業利益率に一定の評価があるものの、成長期待はすでに織り込み済みとの見方が優勢で、全体としては「ホールド」評価が多数を占めている。

異例のPERとP/Sが示すパランティア株の過熱感

パランティア・テクノロジーズの株価は、過去1年間で約291%上昇した。その背景には、同社の人工知能プラットフォーム(AIP)を中心とした商業・政府向けサービスへの旺盛な需要がある。しかし、株価の急騰により、同社のバリュエーションは市場平均から大きく乖離している。具体的には、2025年の予想ベースでPERは173.3倍、P/Sは60.1倍に達しており、いずれもセクター中央値(PER22.3倍、P/S2.8倍)を大幅に上回っている。

このような水準は、いかに成長企業とはいえ、株価が業績の実態以上に先行していると見なされやすい。Jefferiesの5つ星アナリスト、ブレント・スリルも「最も高価な銘柄」と位置づけており、明確な懸念を示している。彼はAIイベントでのROI事例に感銘を受けつつも、それらはすでに株価に織り込まれているとの見解を崩していない。パランティアの事業成長に疑念があるわけではなく、むしろ収益性や顧客基盤の拡大は評価されている。しかし、その期待の高さゆえに、市場全体の下落時に相対的に大きな調整を受けるリスクがあると見なされている。

ナスダックとの高い連動性が示唆する短期的リスク

William Blairのアナリスト、ルイ・ディパルマは、パランティア株がナスダック100指数との間に非常に高いベータ値を持つ点を指摘している。ベータとは市場全体に対する株価の変動性を示す指標であり、この値が高ければ高いほど、市場全体の動きに対して株価が敏感に反応する傾向がある。ディパルマによれば、パランティアの株価は市場が下落した際、ナスダック100の3倍程度の割合で下落する可能性があるという。

この特性は、急騰相場では魅力となるが、下落局面では明確なリスク要因となり得る。現在の株価水準では、わずかな市場のネガティブ要因も過剰に反映されかねない。加えて、インサイダーによる継続的な売却も、短期的な需給にマイナスの影響を及ぼす恐れがある。仮にナスダック100が調整局面に入った場合、パランティア株が投資家心理の悪化に巻き込まれるリスクは高まる。AIによる業績期待が強い一方で、短期的な変動要因が大きく、投資判断には一層の慎重さが求められる。

Source:tipranks