バンク・オブ・アメリカはCloudflare(ティッカー: NET)の投資判断を「アンダーパフォーム」から「買い」に2段階引き上げ、目標株価を従来の60ドルから160ドルへと166%上方修正した。AIを軸とする成長可能性と堅実なファンダメンタルズが主な評価理由とされている。
Slatestone Wealthのケニー・ポルカリ氏も、同社を「業界で注目すべき存在」と高く評価。年初来株価は17%上昇しており、今回の格上げによりさらなる注目を集めている。一方で、アナリスト全体の意見は割れており、慎重な見方も根強く残る。
AIを成長エンジンとするCloudflareへの評価が急上昇

Cloudflareは、サイバーセキュリティとネットワークパフォーマンスを中核とするインターネット基盤企業として広く知られているが、今回の目標株価の大幅な引き上げの要因は、AIを基盤としたソリューション展開にあるとされる。バンク・オブ・アメリカのアナリストであるマデリーン・ブルックス氏は、目標株価を従来の60ドルから160ドルへと166%引き上げた上で、CloudflareのユニークなAI機能がSaaS業界の中で差別化された価値を創出していると述べた。この格上げは、投資判断自体も「アンダーパフォーム」から「買い」へと2段階引き上げられており、市場に強いインパクトを与えた。
火曜日には株価が一時4%上昇し、129ドルに到達。これは同社の年初来17%上昇という堅調なパフォーマンスと相まって、成長の継続性への市場の期待感を表している。Slatestone Wealthのチーフ・ストラテジスト、ケニー・ポルカリ氏もYahoo Finance上で同社を「一貫した成功を築いてきた重要銘柄」と評価し、長期的な成長性に言及した。ただし、ポルカリ氏はブルックス氏の最新レポートには目を通していないとも明かしており、市場の評価には慎重な要素も残る。
バンク・オブ・アメリカの強気姿勢は、CloudflareのAI活用が具体的に成果を上げていることを示唆するものではあるが、全アナリストの見解が一致しているわけではない。最新のデータでは「買い」評価が50%、「ホールド(中立)」が40%を占め、慎重姿勢も根強い。今後は実際の業績がこの高評価に見合うかが焦点となる。
評価の分岐が示す投資判断の複雑性とCloudflareの本質的価値
今回の格上げによって注目が集まる一方、アナリストの見解が分かれている現実は、Cloudflareという企業の評価の難しさを物語っている。「買い」評価が半数を占める一方、「ホールド」が4割に達しており、投資家の間では依然として慎重な姿勢が見られる。これは、AIという成長領域がもたらす期待と同時に、競争激化やテクノロジー業界特有の変動性といったリスク要因が織り込まれているためである。
Cloudflareはもともとセキュリティとパフォーマンス向上に特化したクラウドベースのサービスで知られており、現在もその基盤は変わっていない。ただし、ここにAIを融合させたことによって、ネットワークインテリジェンスや自動最適化といった次世代機能の展開が可能となった。これが今回の評価引き上げの裏付けであると同時に、同社の技術的優位性を示す重要なポイントである。
しかし、技術革新の先行きには不確実性も伴う。AI分野では競合の台頭も激しく、Cloudflareがその中でどの程度の差別化を保てるかは依然として不透明だ。また、目標株価160ドルという水準も、将来的な収益やユーザー基盤の拡大が伴わなければ過大評価となる可能性もある。したがって、この格上げは期待の表れであると同時に、実績に基づく検証を要する節目でもある。
Source:Wall Street Pit