2025年3月25日、アリババ会長ジョー・ツァイが、AI開発を巡るデータセンター投資の過熱に「危険なバブル」との懸念を示したことで、Nvidia株が約2%下落した。この発言は、年初から進行するNvidia株の乱高下と重なり、市場に新たな不安を呼び起こしている。
背景には、アリババ自身のAI事業強化に加え、米国のスターゲート計画など世界的なインフラ投資の加速がある。AI産業の成長余地は依然大きいものの、過剰投資への警戒感が広がれば、短期的に半導体関連銘柄を直撃する可能性も否定できない。
AIインフラの過剰投資に警鐘を鳴らすジョー・ツァイの発言がもたらした市場の動揺

アリババ会長ジョー・ツァイは、AI開発の進展に伴って建設が急増しているデータセンターについて、「危険なバブルが形成されつつある」と警告した。この発言は2025年3月25日に報じられ、ブルームバーグをはじめとする主要メディアに取り上げられた直後、Nvidia株は約2%下落した。投資家心理を冷やした要因として、NvidiaがAI関連半導体の供給で市場をリードしていること、そして過剰な設備投資が需給の不均衡を生むとの懸念が背景にあると見られる。
加えて、ツァイは利用者や顧客が定まらないままインフラ整備が先行している点を問題視しており、これが将来的な遊休資産の増加につながると示唆している。市場は、アリババ自身がAI領域への積極投資を続ける一方で、こうした警告を発することに対して複雑な反応を示した。Nvidiaの株価は週を通しては2.17%の上昇となったものの、過熱感への警戒が再燃していることは否定できない。
短期的な反応にとどまらず、今後のAI関連株全体に対する評価軸が「技術革新の期待値」から「持続可能性と収益性」へと移行する可能性も出てきた。ツァイの発言は単なる企業人の警告にとどまらず、投資マインドの転換点となる一石を投じた格好である。
データセンター・バブルの懸念はAI産業の成長曲線を鈍化させるのか
AIインフラの拡大を巡るバブル懸念は、かつてのドットコム・バブルの記憶を呼び起こす。1990年代後半にインターネット関連銘柄が過剰評価され、やがて崩壊した事例が、今回のAI投資にも重ね合わされている。しかし当時とは異なり、AIは既に多様な産業で導入が進んでおり、一定の需要は既成事実となっている。よって、仮に一部のデータセンターが遊休化したとしても、それは市場全体の崩壊には直結しないという見方も根強い。
加えて、今回の投資加熱の構図には地政学的な背景も存在する。2025年初頭にドナルド・トランプ元大統領が発表した「スターゲート計画」は、AIインフラを国家戦略の中核と位置づけるものであり、民間企業のみならず国家が関与する規模となっている。これにより、単なる企業の投資判断ではなく、政治的意図が絡む長期視点でのインフラ整備が進行している点が特徴である。
一方で、技術革新の速度と市場の期待値が乖離すれば、バブルは必然的に発生する。その際、最も影響を受けるのは設備投資を先行させている半導体メーカーやクラウド事業者となる。今後、AIに関する資本配分の妥当性が問われる場面が増える中で、短期的な株価変動を冷静に見極める姿勢が重要となる。
Source:Finbold