米国の消費者信頼感指数が2025年3月に92.9まで急落し、2021年1月以来の最低水準を記録した。背景には、トランプ前大統領による不安定な関税政策があり、経済や雇用への懸念が高まっている。特に今後の景気見通しを示す期待指数は65.2まで低下し、リセッションの兆候とされる80を大きく下回った。

加えて、格付け機関ムーディーズは米国の財政健全性の長期的な悪化を警告。消費者の間でも今後の所得への期待が後退し、個人の経済観測にも影を落としている。特に55歳以上の層で心理的悪化が目立ち、中間所得層も不安を強めている。

経済政策の不透明感が企業活動だけでなく個人の購買心理にも深刻な影響を及ぼし始めており、今後の景気後退リスクを巡る議論が一層現実味を帯びてきた。

米消費者信頼感が急落 高齢層と中所得層に顕著な心理的後退

2025年3月に発表されたコンファレンス・ボードの調査によれば、米国の消費者信頼感指数は前月から7.2ポイント下落し92.9となり、2021年1月以来の低水準に落ち込んだ。特に注目すべきは、短期的な経済見通しを測る「期待指数」が65.2まで低下した点であり、これはリセッションの予兆とされる80のラインを大きく割り込んだ水準である。

世代別に見ると、55歳以上の層で心理的な後退が際立ち、35〜55歳の中年層も悲観的な見方を強めている。また、年収12万5,000ドル以下の世帯で信頼感の著しい低下がみられた一方、高所得層では比較的安定した心理を維持している。短期的な所得の増加に対する期待も弱まり、個人の将来設計や消費行動に影を落としている。

この急激な信頼感の悪化は、トランプ前政権による不安定な経済政策への警戒感と無関係ではない。消費者の懸念は個人経済の先行き不透明感にとどまらず、国全体の政策運営の信頼低下というより深い構造的な問題へと波及しつつある。今後、消費主導の成長が軸である米経済にとって、この信頼感の回復は喫緊の課題といえる。

トランプ関税政策がもたらす企業と財政への不確実性

トランプ前大統領による断続的な関税導入の動きが、米国内外の企業活動に深刻な影響を及ぼしている。関税の範囲や導入時期に一貫性がなく、経済界では中長期の事業計画が立てにくくなっているとの指摘が相次ぐ。高頻度経済学のチーフエコノミストであるカール・ワインバーグ氏も「ワシントンの混乱が影響している」と分析しており、政策不安が企業心理に影を落としている。

一方、ムーディーズは米国の財政健全性が長期的に悪化傾向にあると警鐘を鳴らしている。2023年11月に米国の格付け見通しを引き下げた後も状況は改善せず、予算赤字の拡大と債務コストの上昇が財政の持続可能性を脅かしているという。こうした構造的課題は、政府による財政出動の余地を狭め、今後の景気後退局面における対策の制限要因となる可能性が高い。

政策運営の不透明さは、企業投資だけでなく国債市場や金融機関のリスク判断にも波及する。関税政策を巡る即興的な対応が続けば、米経済の基盤である市場の安定性が揺らぎ、信頼回復への道筋はさらに困難を極めることになるだろう。

Source:support the guardian