AIワークロードの爆発的増加に直面する中、Rapt AIとAMDが長期的な戦略的提携を発表した。Raptの自動最適化プラットフォームは、AMDのInstinct MI300Xおよび次世代GPUに統合され、GPUリソースの使用率を最大化しつつ、コスト削減と運用効率の向上を実現する。

CTOアニル・ラヴィンドラナス氏によれば、従来数時間を要したパフォーマンス改善をわずか数分に短縮できるとされ、推論タスクの自動実行や最大10倍のモデル処理能力を提供するという。AI導入の本格化に伴い、企業のCIOやCFOはROIへの関心を強めており、数千万ドル単位のGPU投資が真の成果を問われる局面にある。

同ソリューションは既に複数のフォーチュン100企業およびクラウドサービスプロバイダーで導入が進んでおり、オンプレミスからマルチクラウド環境までをカバー。Instinct GPUとRapt AIの協業により、AIインフラの未来像が一段と現実味を帯びてきた。

Instinct GPUとの統合がもたらす実効性と導入効果

Rapt AIの自動化プラットフォームは、AMDのInstinct MI300Xおよび今後登場予定のMI325X、MI350シリーズと統合され、AI推論および学習ワークロードの処理効率を飛躍的に向上させる。クラウドとオンプレミスの双方に対応し、スケーラビリティと即応性を両立する設計により、企業は運用環境を選ばずリソース最適化を享受できる。CTOアニル・ラヴィンドラナス氏の説明では、従来9時間を要した最適化処理が3分で完了する実例もあり、モデル実行能力を最大10倍に引き上げるとされる。

この劇的な処理効率の向上は、人的介入ゼロ・コード改修不要という特性に支えられており、GPUの未使用領域約30%を実稼働へ転化する。また、Raptは推論ワークロードの動的変化に即応することが可能であり、予測不能な変化にもリアルタイムで対応できる。導入実績はフォーチュン100企業に及び、既にクラウドプロバイダー2社では本番環境でコードが稼働している。AIの導入が拡大する現場で、現実的かつ即効性のある解決策として注目される所以である。

GPU非効率の打破がCFO・CIOの判断を左右する

AI推論の高度化と同時に、GPU投資の効率性が経営層の判断材料として浮上している。Rapt AIのCEOチャーリー・リーミング氏は、企業が数千万〜数十億ドル規模のGPUインフラを導入しても、リターンが可視化されていない現状を問題視する。30%近いGPUの遊休状態は、業務効率のみならず財務的な観点からも許容されがたい要素である。加えて、AIモデルはますます巨大化・複雑化しており、従来のリソース最適化ツールでは対応しきれないという実情が浮き彫りになっている。

本来、CFOやCIOが求めるのは、「どれほどの投資が、どの程度の成果を生んだか」という明確な指標であり、Raptのプラットフォームはまさにその解を提示しようとしている。自動最適化によりデータサイエンティストがインフラ調整から解放され、本来注力すべきイノベーションに時間を割ける構造は、人的資源の配置効率にも直結する。AI推論が実稼働フェーズへと移行した現在、効率化は単なる技術的課題にとどまらず、経営判断そのものを左右する領域へと移っている。

Source:VentureBeat