ストリーミング大手Netflix(NFLX)の株価が過去1年間で約55%、年初来でも8.6%の上昇を見せ、市場全体の軟調な動きとは対照的な強さを示している。背景には、パスワード共有の取り締まりによって新規加入者が急増し、世界の契約者数が3億人に到達したという事実がある。

さらに、手頃な広告付きプランや強化されたインタラクティブ機能が価格感度の高い層を取り込み、広告事業の成長も加速中。第4四半期には1,900万人が新規加入し、広告プランの加入は前期比35%増と勢いを見せた。

JPMorganやMoffett Nathansonをはじめとする複数のアナリストが目標株価を1,100ドル超に設定し、「買い」評価を強化。2025年売上予想も上方修正され、景気後退局面における防御的資産としての位置づけが一層明確になっている。

世界加入者3億人と広告モデルの拡充が示す収益基盤の強靭さ

Netflixは2024年第4四半期において過去最多となる1,900万人の新規加入者を獲得し、累計加入者数は3億人に達した。特筆すべきは、その半数以上が低価格の広告付きプランを選択した点であり、広告モデルの浸透とともにユーザーベースの多様化が加速している。2022年に導入された広告付きプランは現在、月間アクティブユーザー数7,000万人にまで成長しており、手頃な価格設定が新興市場でも効力を発揮している。

この広告モデルは、視聴時間に基づくターゲティング精度の向上とあわせて、企業広告主にとっても魅力的な投資先となりつつある。また、過去にはNetflixが有料会員数の成長鈍化に直面していたが、価格弾力性の高いプランとエンゲージメントの収益化により、収益源の複線化が進んでいることがうかがえる。特に、6,500万人が視聴したボクシングのライブ配信は、スポーツ分野への進出が新たな成長の起点となる可能性を示唆している。

今後もこのモデルが拡張されれば、従来のサブスクリプション依存からの脱却が進み、景気変動への抵抗力が高まる構造が形成されることが予想される。ただし広告収益の比率が高まれば、景気後退時の広告予算削減が直撃するリスクも孕んでおり、今後の成長には慎重な戦略運営が不可欠となる。

 

アナリストが示す強気評価と株価指標に見る割安感の背景

JPMorganやMoffett Nathansonなど主要金融機関のアナリストが、Netflix株の目標株価を1,100ドル超に設定し、「買い」評価を強めている点は注目に値する。2023年に55%の株価上昇を記録したにもかかわらず、現在の予想PERは約39倍と過去平均の44倍を下回っており、依然としてバリュエーションに一定の割安感が残るとされる。この指標は、今後の利益成長に対する期待を織り込みつつも、過熱感が限定的であることを示している。

さらに、売上高に対する倍率も約9倍と業界平均を大きく上回っており、マクロ経済の逆風下でも高水準の評価を維持している点が市場からの信頼を物語る。事実、2024年第4四半期には売上が前年比16%増の102億ドル、1株利益も前年の2.11ドルから4.27ドルへと倍増した。これにより、通年売上見通しは従来予想から5億ドル上方修正され、成長トレンドが加速していることが裏付けられた。

ただし、急激な成長局面が一巡すれば、今後の株価は業績予測の精度や新規事業の進展度合いに左右されやすくなる。投資家は短期の上昇だけでなく、収益構造の質的変化や広告領域の収益性を見極める視点を持つことが求められる。数字が示す評価以上に、同社の持続的競争優位性の検証が今後の焦点となる。

Source:Barchart