Appleは2025年3月、Apple Cardの貯蓄口座の年利を従来の3.9%から3.75%へと引き下げた。今回の利下げは2025年に入って初の調整であり、2024年12月の利下げ(4.1%→3.9%)に続く措置となる。この動きは、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利変更を受けたものであり、業界全体の金利低下傾向と軌を一にする。
Appleは2023年4月に4.15%で同口座を開始後、2024年1月には4.5%まで引き上げていたが、その後は段階的な利下げが続いている。なお、現在の利率は発行元であるゴールドマンサックスのMarcus貯蓄口座と同水準に設定されており、Appleの金融戦略の柔軟性と市場連動性を示唆する内容といえる。
Apple Card貯蓄口座の金利推移と背景にある金融環境

Appleは2023年4月にApple Cardの貯蓄口座を年利4.15%で開始し、その後の数か月で最大4.5%まで金利を引き上げた。2024年1月下旬に到達したこの水準は短期間であったが、以降は米連邦準備制度理事会(FRB)の動向に呼応するかたちで段階的な引き下げが実施されている。
2024年4月には4.4%へ、9月には4.25%、10月に4.1%、12月には3.9%となり、今回の3.75%への変更に至る。この一連の利下げは、Appleが独自の方針で実施したというより、金融市場全体の金利圧縮傾向に準じた結果と見るべきである。
Apple Cardの貯蓄口座はゴールドマンサックスが提供しており、同行のMarcus貯蓄口座と利率が一致している点からも、金利設定における主導権は預金運用機関の判断に委ねられている可能性が高い。なお、2025年の利下げは今回が初であり、今後の動きはFRBの金融政策と強く連動すると見られる。
金利低下による利用者心理とAppleの金融戦略の転換点
年利4.5%という高水準を提示していた2024年初頭のApple Card貯蓄口座は、テクノロジー企業による金融サービスの新たな可能性を提示する象徴であった。その後の利下げによって魅力が薄れたとの印象もあるが、Appleが一貫して業界動向と連動した調整を行っている点は、安定的な運用環境を優先している証左といえる。
高利率による急速な口座獲得フェーズから、持続可能な金融事業構築への転換が進んでいる。一方で、貯蓄口座の利率がMarcusと同一である点は、Appleの付加価値の希薄化にもつながりかねない。今後はUI/UXの利便性、Appleエコシステムとの統合、あるいは限定的なボーナス金利などを通じて、金融領域における独自性を再構築していくことが求められる。
ユーザーにとっては金利のみならず、操作性やブランドへの信頼感が選択の基準となり始めており、単なる利率競争では測れない段階へと入っている。
Source:9to5Mac