サムスンが開発中の新型折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip FE」に、Exynos 2400eチップセットが搭載される可能性が浮上している。これは、Galaxy S24 FEにも使われたプロセッサーで、Galaxy Z Flipシリーズとしては初の自社製SoC採用となる見込みだ。

この2400eは、同世代のExynos 2400よりもクロック速度が控えめなバージョンで、より高性能なExynos 2500との差は特に大きいとされる。加えて、コスト削減のためにIPoP技術が導入される可能性も報じられており、発熱や厚みに影響を及ぼす可能性も指摘されている。

Exynos 2400eの採用が示す性能とコストの微妙なバランス

Galaxy Z Flip FEに搭載される可能性があるExynos 2400eは、Galaxy S24 FEと同様のSoCであり、クロック速度が抑えられたCortex-X4コアを搭載している。これは、より高性能なExynos 2400と比較して処理能力がわずかに劣る一方で、製造コストが低く抑えられる点が特徴だ。Galaxy Z Flipシリーズにおいて、これまで一貫してQualcomm製のSnapdragonを採用してきたサムスンが、ここで自社製チップへ切り替えるのは大きな転換点となる。

また、同チップは4nmプロセスで製造されており、省電力性や発熱の面では最新の3nmプロセスで設計されたExynos 2500と比べて劣るとされる。加えて、IPoP技術の採用によって端末の厚みや放熱性能に影響を与える可能性も取り沙汰されており、設計面でのトレードオフが存在する。これらの要素が組み合わさることで、Galaxy Z Flip FEは、価格を抑えつつもプレミアム感を保つという難しい立ち位置を模索していると考えられる。

一方で、エントリー向けのFan Editionモデルであることを踏まえると、Exynos 2400eの選定は現実的な落としどころとも言える。Z Flipシリーズの象徴である折りたたみギミックを維持しつつ、価格競争力を高める戦略としては、理にかなっている面もある。ユーザーにとっては、処理性能よりも価格やデザイン、日常的な使用感を重視する層が中心になるかもしれない。

IPoP技術の採用と設計面での懸念点

Galaxy Z Flip FEにおいて、SoCの構造にIPoP(Integrated Package on Package)技術が使われる可能性が報じられている。IPoPは、チップとメモリを垂直に積層する技術であり、実装面積を削減できる反面、発熱の逃げ場が少なくなることで放熱設計に課題を抱えやすくなる。これまでのGalaxy Z Flipシリーズでは、薄型かつスタイリッシュな筐体が大きな魅力だったが、IPoP採用による端末の厚み増加は、その特長を損なう恐れもある。

さらに、熱処理が不十分な場合、SoCの性能が発揮されにくくなるだけでなく、バッテリー寿命や動作安定性にも影響が出る可能性がある。折りたたみ端末特有のスペース制約がある中で、IPoPによる発熱問題をどう克服するかが、今回のモデルにおける最大の技術的課題のひとつとなる。特に夏場の高温環境では、体感的にも熱く感じる場面が増える懸念がある。

一方で、IPoPは量産コストの低減や設計の柔軟性という利点もあり、コストパフォーマンスを重視したFEモデルには適していると見る声もある。ただし、端末の完成度や快適性が価格重視の設計によって損なわれるようであれば、長期的な信頼性やブランド価値に影響を及ぼす可能性も否定できない。サムスンがどのような冷却機構や筐体設計でバランスを取るのか、その実装に注目が集まる。

Source:SamMobile