Intelが正式発表していないMeteor Lakeのデスクトップ向けプロセッサ試作機「Core Ultra 9 185」が流出し、LGA 1851ソケット上での動作が確認された。構成はパフォーマンスコア6基、効率コア8基の合計14コアで、TDPは最大135W。ベースクロックは2.8GHz、ブースト時には4.5GHzに達する。

このサンプルはハイパースレッディング非搭載で、800シリーズマザーボードとの互換性に課題があるものの、特定環境下では安定動作していることがスクリーンショットから明らかとなった。シングルおよびマルチスレッド性能は、同構成のモバイル版と比較して控えめな結果となっている。

Meteor LakeはIntel初のマルチタイル設計を採用しており、グラフィックス性能の強化が特徴。2023年にはデスクトップ向け展開の見直しが報じられていたが、今回のリークは計画段階で製造された実機の存在を裏付けるものといえる。

LGA 1851対応のMeteor Lake試作機が示すIntelのデスクトップ戦略の過渡期

Intelの未発表プロセッサ「Core Ultra 9 185」は、LGA 1851ソケットに対応し、デスクトップ環境での動作が確認された試作機である。14コア構成(Pコア6基+Eコア8基)、TDP最大135W、ベースクロック2.8GHz/ブースト4.5GHzという仕様から見ても、パフォーマンス志向の設計が意識されている。

ただし、この個体にはハイパースレッディングが搭載されておらず、現行の800シリーズマザーボードとの互換性に課題を残している。

このプロセッサは、「ES2」表記があることから第2段階のエンジニアリングサンプルとされ、正式製品化の前段階に位置づけられる。CPU-Zによるスコアは、シングルスレッド732.3点、マルチスレッド5750.2点と、同スペックのモバイル版と比較して若干低い。

これは、ハイパースレッディングの有無とクロック差が影響している可能性が高い。にもかかわらず、LGA 1851ソケットへの完全対応という事実は、IntelがMeteor Lakeを一時期デスクトップ市場向けにも検討していた裏付けでもある。

2023年初頭には、IntelがMeteor Lakeのデスクトップ展開計画を撤回したと報じられていたが、今回の流出はその過程で製造された具体的証拠の一つである。新アーキテクチャへの移行期において、こうした試作機の存在は、次世代プロセッサ開発における試行錯誤の痕跡を明確に示している。

マルチタイル設計とLunar Lakeとの差異が浮かび上がらせるMeteor Lakeの位置づけ

Meteor Lakeは、Intelが初めて採用したマルチタイル構造により、プロセッサ内にコンピュート、グラフィックス、SoC、I/Oといった複数のタイルを分離・統合した革新的設計である。この方式は、拡張性と熱設計の柔軟性を高め、特に内蔵グラフィックス性能の向上に寄与している。採用されたXe-LPGアーキテクチャは、GPUとしての性能強化をもたらし、従来のモノリシック設計とは一線を画す。

一方で、Lunar Lakeとの比較によって、Meteor Lakeの設計思想がより明確になる。Lunar Lakeは消費電力効率とグラフィックス性能を重視し、バッテリー持続時間を追求するモバイル特化型であるのに対し、Meteor Lakeは当初から高性能計算を視野に入れた構成であり、モバイルでも多コア・多スレッドを前提としていた。

実際、モバイル向けのCore Ultra 9 185Hでは、最大5.1GHzのブーストとハイパースレッディング対応Eコアが採用されている。

このような両者の違いは、Intelの製品戦略がモバイルとデスクトップの明確な棲み分けを模索していた証左とも読める。特にMeteor Lakeは、試作段階ながらもデスクトップ環境への展開可能性を示唆しており、現在のLunar Lake路線とは異なる開発軸を持っていたと推察される。

マルチタイル化という大きな転換点に立つIntelにとって、本流から外れたこの試作機は、技術的実験と意思決定の中間地点に位置する存在といえる。

Source:Wccftech