Intelの未発表デスクトップ向けCPU「Core Ultra 9 185」とされるMeteor Lake-Sの試作モデルが確認された。LGA-1851ソケットおよびIntel 800シリーズ用に設計され、6つのPコアと8つのEコアによる計14コア構成でありながら、ハイパースレッディング非対応という異例の仕様を持つ。

CPU-Zベンチマークではシングルスレッド性能が732ポイントを記録し、モバイル版最上位モデル「Ultra 9 185H」に匹敵する結果を示す一方、マルチスレッド性能では大きく劣る。TDPは65Wとされ、PL2では135Wに達する設計であるが、製品版としての展開は未定とされている。

この試作モデルは標準の800シリーズマザーボードでは動作しない可能性があり、限定的な用途や内部検証向けに製造されたとの見方も根強い。今後のロードマップの流出や正式発表がなければ、その真の位置づけは依然として不透明である。

Core Ultra 9 185の仕様と性能から見えるMeteor Lake-Sの特徴

Intelが試作したとされるCore Ultra 9 185(Q46W)は、6つの高性能コア(Pコア)と8つの高効率コア(Eコア)を備え、合計14コア構成である点が最大の特徴となる。ただし、Pコアにおいてハイパースレッディング(HT)が無効化されており、スレッド数は14にとどまる。この点は、同じく14コア構成ながら22スレッドを実現するモバイル版Core Ultra 9 185Hとの差異として注目される。

CPU-Zのベンチマークによれば、本モデルはシングルスレッドで732ポイント、マルチスレッドで5750ポイントを記録。前者は185Hと同水準の性能を示しているが、後者では大きく後れを取っている。TDPはPL1が65W、PL2が135Wに設定されており、パフォーマンスと消費電力のバランスを重視した設計と考えられる。

このような構成から見て、Core Ultra 9 185は最終製品化される前段階のES2(エンジニアリングサンプル)でありながら、特定用途を意識した設計意図を持っていた可能性がある。従来のHT有効なマルチスレッド重視型とは異なる方向性を示しており、Intelが描く新たなプロセッサ戦略の一端が垣間見える仕様といえる。

製品化中止と専用マザーボードの存在が示す市場戦略の分岐点

Meteor Lake-Sのキャンセルは、2023年5月に流出したIntelの内部ロードマップによって初めて表面化した。その後も第51週までプロセッサの製造が続いていた事実から、計画は完全に破棄されたわけではなく、少数のサンプルがエッジネットワークやMini-PC向けに製造されていた可能性が指摘されている。一般消費者市場向けのラインとは異なるルートでの活用が模索されていたと見る余地がある。

また、Q46Wサンプルが標準的なIntel 800シリーズマザーボードでは動作しないとの報告も無視できない。LGA-1851ソケットを採用しながらも、専用のマイクロコードや制御基盤が必要であり、Intelが意図的に汎用展開を制限していたと解釈できる。これにより、ベンダー側も積極的なサポートを避け、流通を伴う製品ラインとしては不成立であったことが推察される。

製造されたにもかかわらず流通されなかったこのプロセッサは、Intelの市場展開における選別の一例であり、プラットフォーム戦略の過渡期における実験的アプローチであった可能性がある。今後、同様の非公開アーキテクチャが別用途で再利用される動きにも注視すべきである。

Source:VideoCardz