2025年モデルとして登場した第11世代iPadは、349ドルという価格設定とカラーバリエーションの豊富さで一定の評価を得ているものの、マルチコア性能やGPU性能においては、M2およびM3搭載のiPad Airと比較して著しく劣っている。

特に将来的なApple Intelligenceの実装対象外であることや、アクセサリの互換性に関する制限は、長期使用を前提とする選択肢として不安を残す。基本的な使用には問題がないが、高負荷なアプリケーションやマルチタスクにおいては明確な性能差が露呈する。

メールチェックや動画視聴など軽量な用途では一定の満足度を得られるが、今後進化するAIやソフトウェアの潮流を考慮すると、11世代iPadは既に時代の後方に位置しつつあると言える。

性能指標が示す明確な格差 Mシリーズとの決定的な違い

第11世代iPadに搭載されたA16 Bionicチップは、日常的な作業には十分な処理速度を確保しているものの、マルチコアやGPU性能においてはM2およびM3搭載のiPad Airと明確な差がある。Geekbenchスコアにおいて、M3 AirはベースiPadの2倍以上のマルチコア性能を記録し、昨年モデルのM2 Airですら約60%高い数値を示している。

この差は、Web閲覧や動画視聴といった軽負荷作業では体感しづらいが、グラフィック処理や同時作業が求められる場面で顕著に現れる。たとえば『Call of Duty: Warzone』では、影のちらつきや描画の遅延が発生し、ゲーム体験が大きく損なわれる。

また、最新のiPad AirおよびProモデルは複数のCPU・GPUコアを備えており、ビデオ編集や3Dレンダリングといった重負荷タスクにも柔軟に対応する。ベースモデルのiPadは依然として多くの一般利用者にとって魅力的だが、今後のOS進化やアプリの要求水準を踏まえた際、現在の性能は持続的な満足度を保証するとは言い切れない。

価格を抑えつつ基本機能を重視する方には十分だが、中長期的視野ではパフォーマンスの限界が早期に到来する可能性が高い。

アクセサリとAI非対応の代償 拡張性と将来性に残された課題

第11世代iPadは、同じ11インチ画面を持ちながらも、iPad AirやProに対応する最新のApple PencilやMagic Keyboardが使用できない構造となっている。特に、外観的には互換性があるように見えるにも関わらず、Appleはキーボードケースに必要なマグネットを意図的に省いており、ユーザーにとっては想定外の制約となっている。

これにより、文書作成や作業用途にiPadを活用しようとする層にとっては、拡張性の面で大きな不満が残る。また、Apple Intelligenceへの非対応も注目すべき点である。AI機能が今後のiPad OSに本格的に統合されることが予想される中、A16チップではその要求を満たせないことが明らかになっている。

現時点では実用面での影響は小さいが、数年内にローカルAIが標準化されれば、同デバイスは新機能の恩恵を受けられない立場に置かれる。さらに、搭載メモリもAirモデルが8GBであるのに対し、ベースiPadは6GBにとどまっており、将来的なアプリの動作安定性にも差が出ることが考えられる。コストを抑えた選択には代償が伴うという現実が、ユーザーの判断を難しくしている。

Source:The Verge