Amazonが配信を開始したKindleの最新アップデート(ファームウェア5.18.1)により、デバイス側面や背面をダブルタップするだけでページを進められる新機能が加わった。2018年以降に発売された第10世代以降のKindleが対応機種となっており、初期設定ではこの機能が有効になっている。
画面を直接タップする必要がないため、指紋汚れを気にすることなく快適に読書が進められる。ただし、ページ送りのみ対応しており、戻る操作には従来の画面タップが必要となる点には注意が必要だ。
さらに、シリーズ本の要約表示機能も搭載されており、過去作を読み返すことなく物語の流れを把握できるようになった。
タップではなく“背面ダブルタップ”で操作する新たな読書体験

Amazonが2024年に配信を開始したファームウェア5.18.1では、Kindleのページ送りに革新的な操作が導入された。2018年以降に発売された第10世代以降のモデルにおいて、デバイスの側面や背面をダブルタップすることで、画面に触れずに次のページへ進める仕様が標準で有効化されている。設定から無効にすることも可能で、読み方の好みに応じたカスタマイズにも対応する。
この新機能は、加速度センサーやジャイロセンサーといった内部の動き検出技術を活用しているとみられ、画面外からの軽い入力でも誤動作なく正確に反応する点が特徴だ。長時間の読書でも画面を汚さずに操作できるため、ディスプレイの視認性を維持したまま読書が楽しめる。特にベッドやソファなどでリラックスしながら読書をする場面で、利便性の高さが実感できるだろう。
一方で、このダブルタップは進行方向にしか機能せず、ページを戻る際は従来どおり画面タップが必要になるという制限がある。操作の統一感に欠けるという声が今後挙がる可能性は否定できず、今後のアップデートで双方向対応が検討されるかどうかが注目される。
あらすじ表示機能でシリーズ作品への再接続がスムーズに
同アップデートでは、シリーズ作品を読む際の読者の記憶を補助する「Recaps for Books in Series(シリーズ本のあらすじ)」という新機能も追加されている。これは英語圏の人気シリーズを中心に、過去作の要点を短くまとめて表示するもので、続きを読む前に物語の流れや登場人物の関係性を思い出すのに役立つ。過去に購入済みまたはレンタル中のタイトルに対して自動的に表示される仕組みだ。
この機能は、長編や巻数の多い作品を断続的に読む読者にとって、途切れた読書体験を補完する有効な手段となる。これまではWikipediaや書評サイトを検索して記憶を補っていた読者にとって、アプリ内で完結できる便利さは大きな進化と言える。再読のハードルが下がることで、途中で離脱していた作品に戻るきっかけにもなるだろう。
ただし、現時点では英語圏の作品に限られており、日本語コンテンツへの対応は明記されていない。今後、対応言語の拡大やあらすじの精度向上が進めば、Kindleが提供する読書体験全体の完成度もさらに高まることが期待される。
ボタン復活を求める声へのひとつの回答か
ダブルタップ機能の導入は、物理ボタンが廃止された現行Kindleシリーズに対して、操作性の改善を求める声に対するAmazonのひとつの応答と受け取れる。特に、Kindle Oasis以降、物理的なページめくりボタンの不在を惜しむ声は一定数存在していた。今回のアップデートはその代替策として、デバイスを握ったままの操作を可能にし、読書中の動作を最小限にとどめる仕組みを提示している。
ただし、物理ボタンのクリック感や明確なフィードバックを重視していた読者にとって、タップ操作の反応にやや物足りなさを感じる可能性はある。また、誤作動を防ぐためにタップの感度が調整されているとすれば、反応までのタイムラグや誤認識の少なさが評価ポイントとなるだろう。現時点では進む方向にしか使えない仕様のため、完全なボタン代替とまでは言い切れない。
とはいえ、画面の美観を維持しつつ操作性を高めたいというニーズに一定の解を提示した点では、今回の機能追加は読書環境の改善に向けた前進といえる。次のアップデートで双方向対応や、タップ感度のカスタマイズなどが加われば、より多様な読み方に対応できるようになるだろう。
Source:Android Authority