マイクロソフトは、USB接続のデュアルモードプリンターで発生していた異常印刷バグに対し、2025年3月のオプションアップデートで修正を実施した。Windows 10の「KB5053643」と、Windows 11の「KB5053657」が対象となり、4月には定例アップデートでも修正が反映される予定である。

このバグは、プリンターの再接続時などに「POST /ipp/print HTTP/1.1」といった不審な出力が印刷されるもので、K2050092アップデート以降の環境で発生していた。回避策としてKIRも提供されていたが、一般ユーザーにとっては不十分との声も多かった。

今回の更新によって長らく放置されてきたこの問題はようやく収束に向かいそうだが、対象のアップデートを適用するか、4月まで待つかは環境次第となりそうだ。

USBプリンターで誤出力 2025年1月以降の影響と3月更新による修正内容

今回マイクロソフトが修正を行ったのは、USB接続されたデュアルモードプリンターでランダムなデータや謎の文字列が印刷されるという問題である。影響が出ていたのは「US Print」および「IPP Over USB」の両プロトコルに対応する機種で、特にプリンターの電源投入時や一度切断された後に再接続された際に頻繁に発生していた。2025年1月29日にリリースされた「K2050092」以降の非セキュリティアップデートが、このバグの引き金となった。

マイクロソフトはまず回避策として、グループポリシーを使った「Known Issue Rollback(KIR)」を提示していたが、この方式はWindows Pro以上の利用者向けであり、一般的な環境では利用が難しいものだった。そのため、多くのユーザーにとっては実質的に“解決不能なバグ”として放置されていた格好だ。これに対し、2025年3月にリリースされたWindows 10用の「KB5053643」およびWindows 11用の「KB5053657」によって、ようやく問題の修正が正式に組み込まれるに至った。

一方で、Windows 11 バージョン24H2のユーザーには、3月27日までは修正が提供されない点にも注意が必要である。月例更新である4月の「Patch Tuesday」にも同修正が反映される予定であることから、待てる環境であれば定例アップデートを待つのも選択肢の一つといえる。

なぜ修正に時間がかかったのか マイクロソフトの対応の限界と課題

このバグの存在が公に確認されたのは、マイクロソフトがWindows Health Dashboardで取り上げたタイミングであり、実際の影響はそれ以前から報告されていた可能性がある。それにも関わらず、正式な修正が提供されるまでに2か月以上を要した背景には、USB印刷プロトコルというニッチな機能領域ゆえの対応の優先順位の低さがあると考えられる。セキュリティ上の脅威ではなかったことも、後回しの一因だろう。

また、「Known Issue Rollback」の仕組みは高度な柔軟性を提供する一方で、一般的な家庭利用者には手の届きにくい対応策である点が課題として浮かび上がる。今回のケースでは一部の上級ユーザーがKIRを活用して事態を回避したが、それが可能な層は限られており、大多数の環境では事実上バグと付き合わざるを得ない状況が続いていた。

システムアップデートによる副作用が出ること自体は避けがたい面もあるが、こうした不具合が生じた際にどこまで広く、どの層に向けて早期の対処が届くかという視点は、今後のアップデート設計においても重要性が増すだろう。特に、複雑な環境で起こりがちなプリンタートラブルは、日常的な作業の中断につながるため、小さな問題でも見逃されてはならない。

Source:MUO(MakeUseOf)