Windows 10のサポート終了が迫る中、LinuxベースのZorin OS 17.3が登場した。新バージョンでは、Firefoxに代わりBraveを標準ブラウザとして採用し、150以上のWindowsアプリを自動認識して代替ソフトを提案する仕組みを導入。Android端末と連携できるZorin Connectも刷新され、スマホをジャイロマウス化するなど機能が強化された。

さらに、最新のNvidia RTX 5000シリーズに対応するドライバや、タッチデバイス向けの操作性向上なども加わり、古いハードウェアに“第二の人生”を与える選択肢として注目を集めている。

Braveが標準ブラウザに プライバシー重視の姿勢が選定の鍵に

Zorin OS 17.3では、これまで標準だったFirefoxを廃止し、代わりにBraveが採用された。Braveはトラッカーやフィンガープリンティングのブロック、Torを活用したプライベートブラウジング機能などを備えたオープンソースブラウザで、広告非表示機能やクッキーバナーの抑制にも対応している。Mozillaの方針変更により、プライバシーに対するユーザーの信頼が揺らいだことが背景にあるとされるが、Braveが持つ機能性と軽快な動作、そしてZorin OSに最適化された初期設定は、すぐに使い始めても違和感がないほど完成度が高い。

設定済みのデザインやUIは、Zorin OSの美学と親和性が高く、導入直後から洗練された印象を与える。これにより、ブラウザ選択の自由度を確保しながらも、より安全でストレスの少ないWeb体験が得られる構成となった。プライバシーを重視しながらも操作性を犠牲にしない点は、普段から複数のサービスを利用する人ほどそのメリットを実感しやすい。旧PCを復活させた環境でどれだけ快適にWebを扱えるかは重要なポイントであり、その意味でBraveの標準化は象徴的な変更といえる。

Windowsアプリ互換の強化とアプリ提案機能がもたらす実用性

Zorin OS 17.3は、Windowsアプリケーションとの互換性に注力した設計が大きな特徴である。150本以上のWindows向けインストーラーを自動で認識し、それに対応するLinuxネイティブアプリや代替アプリを提示する機能を新たに搭載。たとえばObsidianのセットアップファイルを開けば、Zorin OSは対応するLinux版のダウンロードを案内し、Adobe Readerがなければ内蔵のDocument Viewerを代替として提案する。このような仕組みは、移行に伴うアプリ環境の再構築というハードルを大幅に下げる。

加えて、互換性に加えて提案精度の高さにも注目したい。単なるWineなどによる動作再現ではなく、ユーザーの利用意図に応じた最適な選択肢を提示する点が実用的である。これは、既存のアプリに慣れ親しんだまま環境を移行したい人にとって、極めて安心感のあるサポートとなるだろう。Zorin OSは単なるLinuxディストリビューションではなく、日常的な作業環境をストレスなく引き継ぐための設計が随所に施されている。

スマホ連携が進化 Zorin Connectが広げるPCとAndroidの接点

Zorin OS 17.3に搭載されたZorin Connectは、Androidスマートフォンとの連携機能において大幅な進化を遂げている。スマホ側のテーマに自動適応する新UIは視認性と親和性を高め、通知管理やファイル共有機能に加えて、スマホをジャイロセンサーを活用したマウスとして使える新機能が導入された。また、オフライン時でもリンクを送信でき、オンライン復帰時に自動で開くなど、利便性を高める細かな工夫がなされている。

ホーム画面ウィジェットの複数対応や通知制御の強化も加わり、デスクトップとモバイルの垣根を意識せずに操作できる環境が整ってきた。普段スマートフォンで扱っている情報や操作をPCに自然に引き継げることは、作業効率だけでなくユーザー体験そのものを豊かにする。こうした連携強化は、単に「便利」というレベルにとどまらず、Zorin OSを日常の中心に据える選択肢として現実味を帯びさせる要素といえる。

Source:BetaNews