著名投資家ウォーレン・バフェットが、2024年に株価が48%下落し、アナリストの「買い」評価がわずか3件にとどまるSirius XM株を追加購入した。2025年2月には5,400万ドルを買い増し、保有額は1億1,900万ドルに達した。
同社の2025年の売上は前年比2~2.5%減と見込まれ、業界全体でも若年層の利用離れが懸念されている。しかし、予想PER8倍未満という割安感、年4.66%の配当利回り、年10億ドル超のフリーキャッシュフロー、解約率2%未満という安定した契約基盤が投資判断を支えている可能性がある。
バフェットは株主価値を重視する姿勢を崩しておらず、逆風下でも長期的な収益性を見込んでの選択と見られる。
バフェットが見抜いたSirius XMの財務的魅力と割安評価

Sirius XMは2024年に株価が48%下落し、市場の評価は芳しくなかった。実際、アナリストの「買い」推奨はわずか3件にとどまる中で、ウォーレン・バフェットは同社株を5,400万ドル分買い増し、総保有額は1億1,900万ドルに達した。注目すべきは、2025年の売上が前年比2~2.5%減と見込まれながらも、同社株が予想PERで8倍未満と非常に割安な水準で取引されている点である。
バフェットは過去にも景気循環や一時的な逆風に左右されず、長期的な収益性を見抜いて投資を行ってきた実績がある。Sirius XMは年4.66%という高水準の配当利回りを維持しており、安定したキャッシュフローによってその持続性が支えられている。実際、同社の年間フリーキャッシュフローは10億ドルを超え、設備投資や債務返済、株主還元の余力を確保していることが分かる。こうした数値面の強さが、バフェットにとっては逆風下でも投資を正当化し得る材料となっている可能性がある。
解約率2%未満が示すSirius XMの顧客基盤の粘着力
Sirius XMの最大の強みは、収益の約76%を占めるサブスクリプションモデルにある。そのうち、解約率が2%未満に抑えられている点は、業界平均と比べても異例の安定性を誇る。特に若年層においては、スマートフォンと音楽ストリーミングアプリの併用が一般的となる中で、従来型の衛星ラジオは時代遅れと見なされがちである。それでもSirius XMは自動車搭載システムとの連動を武器に、継続的な利用者の維持に成功している。
このような安定した利用基盤は、広告モデルに依存せず安定収益を上げられる構造を生み出しているといえる。また、サブスク型モデルにおける低離脱率は、将来的なARPU(ユーザーあたりの平均収益)向上施策の余地を示唆しており、バフェットが注目した「継続収益性の高さ」の裏付けともなり得る。短期的な業績悪化とは裏腹に、同社の事業構造には高い堅牢性が備わっている。
投資判断と市場評価の乖離が映す「逆張り」の本質
Sirius XMに対する市場の評価は冷ややかであり、2024年に株価が大幅に下落した背景には、若年層の衛星ラジオ離れや、成長期待の低下があるとされる。加えて、2025年も続くと見られる減収見通しにより、アナリストの推奨は後ろ向きなものが目立つ。しかし、バフェットがこの状況下で投資を拡大したという事実は、市場全体の見方とは異なる視点が存在することを示している。
歴史的にバフェットは、他者が悲観する局面でこそ投資機会があると説いてきた。割安な株価、安定したフリーキャッシュフロー、持続可能な配当、そして低離脱率という定量的な裏付けが、彼の投資哲学と一致している。市場の短期的な反応がノイズであるとするならば、Sirius XMは中長期的には真価を発揮する可能性も否定できない。現在の市場評価と実態の間に生じたギャップこそ、バフェットが狙った「逆張り」の妙味に他ならない。
Source:msn