2025年9月発売予定のiPhone 17シリーズ全モデルに、Samsung Displayが最新のM14素材セットを使用したOLEDパネルを供給する見通しとなった。M14は昨年、iPhone 16 Proに限定採用されたが、今回はレギュラーモデルやAirモデルにも展開されるという。
有機ELの性能を左右する「素材セット」の中で、M14は現時点で最も高性能とされており、明るさや寿命に関わる重要素材だ。Appleによる一斉採用は、ディスプレイ産業全体に波及効果をもたらす可能性がある。
素材提供企業にはDuPontやSamsung SDIなどが含まれており、関連業界の動向にも注目が集まっている。
M14素材セットがiPhone 17全モデルに採用される意味

Samsung Displayが供給するM14素材セットのOLEDパネルは、これまでiPhone 16 Proのみに採用されていたが、今回iPhone 17シリーズの全モデルに拡大される。この決定により、Proモデルと非Proモデル間のディスプレイ性能差が縮まる可能性が指摘されている。M14は有機ELの色再現性や寿命、輝度性能において従来の素材を上回っており、視認性や省電力性の面でも期待が寄せられている。
OLEDにおいては、使用する素材の質が画質だけでなくバッテリー持続時間にも直結する。特にM14は電力効率に優れており、ディスプレイの明るさを維持しながら消費電力を抑える設計が可能とされる。その結果として、動画視聴やゲーム使用時の連続使用時間がわずかでも改善する可能性があり、日常使いの快適さに直結する点が見逃せない。
これまでAppleは最新技術をPro系モデルに先行導入し、時間差で他モデルへと展開する傾向にあった。今回のように次世代素材を一挙に全モデルへ適用する例は異例であり、製品戦略がやや変化している印象を受ける。この変化の背景には、従来以上に全体の製品完成度を均一化する意図があるとも考えられる。
OLED素材M14に含まれる主要企業とその影響範囲
M14素材セットには、DuPont、UDC、Duksan Neolux、Samsung SDI、SFCといった多様な企業が素材提供企業として関わっている。これらの企業はいずれもOLEDのコア技術を担っており、今回のiPhone 17全モデルへの採用は、それぞれの素材需要を大きく押し上げる要因となる。とくに、M14が現時点で商業化されている中で最も高性能とされる素材であることから、その供給体制にも注目が集まる。
Samsung DisplayがこのM14を独占供給する形となるため、素材各社との連携強化や生産ラインの調整も急がれる見込みだ。また、こうした高性能素材の需要がAppleという巨大市場によって一気に拡大することで、他社スマートフォンやタブレットへの波及も否応なく進行する可能性がある。M14の普及が進めば、OLEDの標準が再び塗り替えられることも視野に入ってくる。
一方で、これほど高性能な素材が広く使われることにより、従来のミドルレンジモデルとの差別化が難しくなる懸念もある。性能の均質化が進む中で、次なる革新がどの領域に求められるかも注目される。AppleによるM14の全面採用は、単なるディスプレイの進化にとどまらず、今後のスマートフォンの方向性にも影響を及ぼす兆しを見せている。
Source:Patently Apple