AI関連銘柄の象徴とされるNVIDIA株が3月26日に5.74%下落し、テック全体の下げを主導した。これを受け、CNBCのジム・クレイマー氏は同社株の今後に「乱気流」への備えが必要だと指摘した。特に「デスクロス」出現を重大な転換点とみなしており、AIブームの行方に不確実性が増している。

昨年には6000億ドル超の時価総額を一日で失ったNVIDIAは、中国新興企業DeepSeekの台頭など競争激化に晒されており、投資家心理も揺らいでいる。クレイマー氏はなおAI革命への信念を維持する一方で、短期的な株価変動に対する慎重な姿勢を崩していない。

NVIDIA株の調整はAIブームの転換点か

3月26日のNVIDIA株の5.74%下落は、単なる一日の調整にとどまらない意味を持つとされる。同社は昨年、約6000億ドルもの時価総額を一日で失い、AI分野の急成長を象徴する存在から、不透明感を抱えた銘柄へと変貌しつつある。今回の下落は、ナスダックをはじめとする主要指数全体に波及し、テック株に対する投資家の警戒感を浮き彫りにした。MetaやAmazon、Alphabetといった巨大IT企業も連れ安となり、市場全体のセンチメントが一時的に冷え込んだ。

NVIDIAにおいて特に注目されるのが「デスクロス」の出現である。50日移動平均線が200日線を下回るこのパターンは、チャート上で長期的な下落トレンドの兆候とされており、株式市場においてはネガティブサインとして広く認識されている。ジム・クレイマー氏もこの変化に言及し、同社がAIセクターの中核であるからこそ、今後の動きが他銘柄に与える影響も見逃せないと強調している。

クレイマー氏の「乱気流」発言に見る中長期の視座

CNBCのジム・クレイマー氏は、NVIDIA株が再び上昇局面へと転じるまでに「乱気流」が続く可能性を示唆している。彼は同社の将来性に対しては依然として強気の姿勢を維持しており、AI主導の産業変革におけるNVIDIAの役割は揺るがないとの認識を明らかにしている。しかし一方で、足元の株価変動は予断を許さず、短期的には不安定な展開が避けられないとの認識もにじむ。こうしたコメントは、同社株を保有する投資家に対して過度な楽観を戒めるメッセージとしても受け取れる。

2025年1月には、中国のAIスタートアップであるDeepSeekの台頭が報じられ、競争環境の変化に対する警戒感が高まった。NVIDIAの技術的優位は依然として高いとされるが、AI分野が飽和へ向かう可能性や、データセンター需要の頭打ちが懸念材料となっている。こうした複合的要因を踏まえれば、クレイマー氏の「保有継続」と「乱気流への備え」という二面性あるアドバイスは、市場の不透明感に冷静な視点を与えるものと言える。

Source:CNBC