ロシアの著名経済学者ヴァレンティン・カタソノフ氏が、国家戦略としてのビットコイン備蓄構想に強い懸念を示した。「投機的ツールに過ぎない暗号資産の備蓄は、バブル崩壊と共に多くの犠牲を生む可能性がある」と警鐘を鳴らし、推進派を「国家を内部から脅かす勢力」とも非難。

ロシア中銀もビットコイン備蓄に否定的姿勢を取る中、国家の資産運用方針を巡る議論が一段と注目を集めている。

暗号資産は国家戦略に適さず カタソノフ氏が「投機性」と「リスク」を指摘

ロシア経済界の重鎮ヴァレンティン・カタソノフ氏が、国家によるビットコイン備蓄の動きを「経済にとっての危機の種」として強く批判した。S.F.シャラポフ経済学会の会長でもある同氏は、暗号資産の本質を「通貨としての信頼性を欠いた投機商品」と位置づけ、そのボラティリティの高さが国家財政に深刻な影響を及ぼしかねないと警鐘を鳴らした。特に国家規模での戦略的備蓄は、経済システムに「地雷を埋めるようなもの」とし、バブル崩壊時には甚大な損失を生む可能性があると指摘している。

この発言は、モスクワで一部政治家が戦略的な暗号資産ファンドの設立を模索しはじめた動きを牽制する意図も含まれる。背景には、エルサルバドルの国家的ビットコイン導入政策があるが、国際通貨基金(IMF)などの否定的見解を考慮すれば、持続可能なモデルとは言い難い。実際、エルサルバドルは今や国際的な経済監視下に置かれている状況である。暗号資産の未来が完全に閉ざされているわけではないにせよ、国家資産としての活用には慎重さが求められる。経済基盤の安定と安全保障を重視する視点から、現段階では時期尚早との認識が広がっている。

ロシア中銀と財務省も慎重姿勢 国家資産は「リスク回避」重視へ

ロシア中央銀行は、国家レベルでのビットコイン備蓄構想を明確に否定しており、財務省もこれに呼応するかたちで、引き続き金および中国人民元の購入を優先すると表明している。この姿勢は、既存の法定通貨と資産の信頼性を重視するロシア政府の基本方針を反映していると言える。一方で、国家福祉基金の流動資産がGDP比7〜10%に達した場合には、よりリスクの高い資産への投資検討に入る可能性があるともされており、今後の財政運用方針には柔軟性を残している。

ただし、現時点で「戦略的暗号資産備蓄」に踏み切った国は存在せず、米国などでも構想段階にとどまっているのが実情である。財務大臣アントン・シルアノフ氏も、2024年末の大学生との対話において「収益は抑えられても、リスクを抑える投資こそが備えになる」と語っており、慎重なリスク管理を国策とする考えをにじませている。こうした対応は、変動性の高い資産に対する国家の耐性の限界を見極めようとする姿勢とも受け取れる。経済安全保障と戦略投資の両立を目指すなかで、ロシアは依然として暗号資産を「国家の柱」とするには時期尚早との立場を崩していない。

Source:Cryptonews