金推進派のピーター・シフは、ビットコイン需要の主因としてマイケル・セイラー率いるマイクロストラテジーの大規模買いと、米国による戦略備蓄構想への思惑を挙げた。同社は3月23日までの1週間で6,911BTCを追加取得し、保有量は50万6,137BTCに達し、評価額は約440億ドルに膨らんだ。

一方で政府による備蓄構想は「詐欺」と切り捨てつつ、自身もビットコインのハードウェア保管に踏み切るなど、矛盾した対応が波紋を広げている。

マイクロストラテジーが50万BTCを突破 戦略的買いが市場構造に与える影響

マイケル・セイラー率いるマイクロストラテジー(MSTR)は、2025年3月17日から23日にかけて6,911BTCを追加取得し、同社の保有量はついに50万6,137BTCに到達した。現在の価格水準で評価額は約440億ドルとされ、上場企業としては他を圧倒する保有規模を誇る。これまで同社は、社債や新株発行を通じて資金を調達し、継続的にビットコインを買い増す戦略を採ってきた。

この一貫した購入姿勢は、取引所の売り圧力を相殺する役割を果たし、需給のバランスに影響を及ぼしていると考えられる。セイラーが提唱する「デジタル金庫」としての価値保全機能は、一部の機関投資家にとっても共感を呼び、模倣戦略が生まれる土壌ともなった。だが、この手法はあくまで市場環境が資金調達に適している間に成立するものであり、長期的には資本構成へのリスクもはらんでいる。

取引価格の上昇が需給ギャップによるものなのか、それとも投機的期待値によるものかの判別は難しいが、MSTRの動向が市場センチメントに与える影響は無視できない規模に達していることは間違いない。

米国の戦略的ビットコイン備蓄観測と投機熱の高まり

一部トレーダーの間では、米政府が戦略的ビットコイン備蓄を構築する可能性が囁かれ、それが新たな資金流入を生む要因となっている。ピーター・シフはこれを「大衆を欺くための偽情報」と批判したが、仮に国家レベルの備蓄構想が現実味を帯びれば、他国による追随も考慮され、地政学的資産としての側面が強まる可能性は否定できない。

この動きに先回りする形で投資を進めるいわゆる“フロントランナー”が増加しており、市場には一時的な熱狂が生まれている。特に「デジタル・ゴールド」としてのビットコインの立ち位置を信じる投資家層は、政府介入を信頼性の裏付けと捉えがちである。だが実際には、米政府が公式にビットコインを保有しているという事実は確認されておらず、現時点ではあくまで市場参加者による憶測の域を出ない。

このような未確認の情報に反応し、価格が急騰する構造は過去にも幾度となく繰り返されてきた。市場の成熟度が問われるなかで、投機的動きが価格の持続的上昇に貢献するかどうかは、依然として不確定要素が多い。

Source:yahoo finance