米国で経済的自由を確保しつつ快適な老後を送るには、ビットコイン30BTC、約3.9億円相当が必要とする試算が示された。金融アナリストのマイルズ・ドイチェル氏が、オーストリア学派の経済理論に基づきXで公表したものである。
1BTC=86,620ドルで換算されたこの水準に対して、市場では賛否が分かれている。短期的には11万ドルへの上昇も一部では予測される一方で、価格変動のリスクも依然根強い。投資家の間では、退職戦略としてのビットコインの有効性を巡る議論が活発化。主要年金基金による導入や企業の大量保有が追い風となり、今後の資産形成の一手として注目が集まっている。
快適な老後に求められる「30BTC」という基準の背景

米国において老後の経済的自立を実現するための資産として、マイルズ・ドイチェル氏は「30BTC」を目安とする数値を提示した。1BTCあたり86,620ドルという市場価格を基にしたこの推定は、経済学者カール・メンガーの価値理論を踏まえており、単なる資産額ではなく「購買力の維持」と「持続的な資産価値」に重きを置いている。すなわち、この基準はインフレや為替リスクといった通貨価値の変動を回避する手段として、デジタル資産を選択する合理性を示唆している。
一方で、この水準は平均的な米国市民の老後資産と比較してもかなり高額であり、現在の価格で約3.9億円、仮に11万ドルまで上昇した場合は5億円を超える水準となる。実際にこれだけのビットコインを保有する個人は少数派であり、この「30BTC基準」は一般的な資産設計とは一線を画す。加えて、ボラティリティの高い暗号資産である点からも、現実的な資産ポートフォリオに組み込むには慎重な検討が求められるだろう。
年金基金や上場企業による保有と市場への影響
米国では一部の年金基金が既にビットコインへの投資を開始しており、その代表例としてウィスコンシン投資委員会が挙げられる。また、民間では「ストラテジー」が今年6,911BTCを追加購入し、総額5億8,410万ドル相当を保有するに至っている。このように制度資金や上場企業による動きは、暗号資産市場に対する信認の形成に大きく寄与している。特に、平均購入価格が84,529ドルであった点からも、彼らは高値圏での長期保有を前提とした運用戦略を採用していると読み取れる。
これに対して、登録投資アドバイザー(RIA)による採用は未だ限定的であり、暗号資産に対する制度的理解や規制環境の整備が進まない限り、主流化には時間を要する。一方で、こうした保有拡大の動きが価格上昇に拍車をかける構造は既に観測されており、投資家の間でのビットコインへの信頼感は徐々に高まっている。結果として、「老後資産の一部にビットコインを」という議論が現実味を帯び始めているのである。
Source:CoinGape