サイバーセキュリティ分野で急成長を遂げるIslandが、シリーズEラウンドで2億5,000万ドルの資金を調達し、企業評価額は48億ドルに到達した。主導したのはCoatue Managementで、過去の資金調達でも同社が中心的な役割を担っている。

Islandは2020年創業のテキサス州ダラス発のスタートアップで、企業向けに特化したセキュアなブラウザを提供。従業員数は約500名、顧客数は450社を超える。昨年4月から評価額が60%上昇しており、投資家の関心が引き続き高まっている。

この調達は、Google親会社がWizを買収する意向を示した直後に行われており、セキュリティ市場全体の投資熱が再び加速する兆しと見られている。

Islandが短期間で評価額を3倍以上に引き上げた背景

Islandは、2020年の創業以来、わずか数年で評価額を13億ドルから48億ドルへと急上昇させた。今回のシリーズEでは、主導したCoatue Managementを含む複数の既存投資家が参加し、2億5,000万ドルの資金を調達。この評価額は、2023年4月の30億ドルから実に60%の上昇を示している。評価の根拠となっているのは、セキュリティと業務効率を両立させる独自のエンタープライズ・ブラウザの存在である。

このブラウザは、企業のセキュリティチームがWebアプリの利用状況やデータアクセスを細かく制御できる構造を持ち、ゼロトラスト化が進む中で注目を集めている。従業員数500人のうち200人以上が製品開発に従事し、技術力への集中がそのまま製品価値に直結している構図だ。顧客数も450社を突破し、市場への実装実績が伴っている点は評価に強く影響している。

過去の資金調達でも、シリーズCで1億ドル、シリーズBで1億1,500万ドルと巨額を集めており、今回の調達はその延長線上にある。短期間でのこの成長曲線は、堅実なプロダクトと市場のニーズが精緻に合致していることの証左といえる。

GoogleによるWiz買収が示すセキュリティ投資の再加速

今回のIslandによる巨額調達は、Googleの親会社であるAlphabetが、クラウドセキュリティ企業Wizの買収意向を示した直後に行われた。Wizの評価額は320億ドルにのぼり、ベンチャーキャピタル出資企業にとっては過去最大規模のM&A案件とされる。このタイミングの重なりは、セキュリティ分野における市場の関心が再び高まっている状況を象徴している。

特に、エンタープライズ領域では、従業員のリモートワーク常態化に伴い、エンドポイントの管理やデータ保護への要求が急速に高まっている。こうした変化の中、Islandのようなブラウザベースのセキュリティ制御技術が脚光を浴びるのは自然な流れであり、今回の調達も市場全体の動向と連動している。

2023年と比較して、すでにサイバーセキュリティ分野へのベンチャー投資は回復基調にあり、特にExitを見据えた大型案件が再び増加している。Islandの評価額の推移は、こうした投資家心理の反映であり、今後も同様のスタートアップに資金が流れ込む可能性は十分にあるだろう。

Source:Crunchbase News