Palantir Technologiesの株価が最高値から約25%下落した。AIソリューションへの需要増を背景に収益は伸びているが、政府契約依存の構造が不安材料となっている。特に米国の国防予算削減計画は、収益源の55%を政府に依存する同社にとって成長の足かせとなりうる。
一方、米国商業部門の収益は前年比64%増と急伸し、契約総額や顧客数も大幅に拡大。2025年には商業収益が前年比54%増の10億ドル超と予測されている。しかし現在の株価は売上高比79倍、予想利益比254倍と割高水準にあり、成長継続が前提となっている点はリスクを孕む。
市場では期待と警戒が交錯しており、アナリストの平均目標株価は現在の水準を下回る84.22ドル。「ホールド」の見方が大勢を占める中、今後の成長性と株価のバランスが注視されている。
国防予算削減がもたらす収益構造への圧力

Palantir Technologiesの2024年第4四半期における政府契約収益は前年比45%増と好調だったが、米国政府による今後5年間の国防予算削減方針が報じられたことで、同社の将来収益には不確実性が生じている。特にPalantirは、AIソリューションの需要増を追い風に成長を遂げたものの、現在もなお総収益の55%を政府契約に依存している。これにより、防衛関連支出の見直しが業績に直結する構造的な脆弱性を抱えている点は否めない。
政府機関からのAI導入が進む現状は同社にとって機会である一方で、政府支出の変動が成長の足並みを左右しかねない。特に長期契約や国家安全保障分野における導入拡大が期待される中で、予算縮小によって計画が縮小されるリスクは避けられない。これに対し、Palantirがどのように事業ポートフォリオを再構築し、依存度を引き下げていくかが今後の成長を占う焦点となる。
米国商業部門の急成長とAI市場での存在感の高まり
2024年第4四半期、Palantirの米国商業部門収益は前年同期比で64%増の2億1400万ドルに達し、通年でも54%増の7億200万ドルと大幅に拡大した。顧客数も前年から73%増の382社となり、同社のAIプラットフォーム(AIP)の導入が多様な業種に広がっていることが示された。契約総額(TCV)は前年比134%増の8億300万ドル、未履行契約価値も倍増しており、AIを活用した業務効率化やデータ活用ニーズの高まりが同社の成長を押し上げている。
この商業領域での加速は、政府契約に依存しすぎた過去の構造からの脱却に向けた重要な一歩と見なせる。ただし、AI市場における競争激化や技術革新の速さを考慮すれば、この成長が持続可能であるとは限らない。2025年に米国商業収益は前年比54%増の10億7900万ドルに達すると予想されているが、その期待に見合う成果を安定的に出し続けるには、製品の進化と顧客定着率の向上が不可欠となる。
割高評価と株価下落のねじれが突きつける成長への疑義
Palantirの株価は最高値の125.41ドルから約25%下落したが、それでもなお株価売上高倍率(P/S)は79.2倍、2026年予想EPSに基づく株価収益率(P/E)は254.2倍と、依然として極めて高水準にある。これらのバリュエーション指標はソフトウェア業界の水準を大きく上回っており、市場が将来の急成長を織り込んでいることを示すが、同時にその期待の高さがリスク要因にもなりうる。
商業部門の急成長は明るい材料であるものの、政府依存の構造的課題や国防予算の引き締めが現実化すれば、売上の伸びが鈍化する可能性は否定できない。このような状況下で現在のバリュエーションが維持されるかは不透明であり、市場の期待と実績の乖離がさらに拡大すれば、株価の下押し圧力は強まるとみられる。アナリストの平均目標株価が現在の水準を下回る84.22ドルに設定されている点は、その懸念の表れである。
Source:Barchart.com