Appleの社内AI開発が難航する中、急成長する中国のAI分野とその厳格な規制が、同社にとって思わぬ追い風となる可能性が浮上している。12月期にはiPhoneの中国売上が18%以上も減少し、長年守ってきた主導権を放棄してでもアリババやバイドゥとの提携を選ぶ構図が鮮明だ。
中国の政府主導型AI戦略により、AppleはAI機能を自社だけで展開するのではなく、現地技術者を活用してiPhone向けサービスを共同構築する道を模索している。AIを巡る競争が激化する中、5月にも導入されるとされるApple Intelligenceは、同社にとってこの巨大市場で再浮上する鍵となる。
一方で、Apple支持層の間でもAI遅延への失望が広がり、同社は異例の経営刷新に踏み切った。AI搭載のiPhoneが再び市場の覇者となれるかは、今や中国の政策と連携力にかかっている。
iPhoneの中国市場失速とApple Intelligence導入の遅れ

2025年12月期におけるiPhoneの中国市場での売上は18%超の減少を記録し、Appleにとって最大規模の市場のひとつである中国での苦戦が鮮明となった。こうした低迷の背景には、急速に進化する現地のAI技術と、それを迅速に搭載する中国スマートフォンメーカーの機動力がある。
Appleが同国で「Apple Intelligence」の導入を明言していない中で、AI搭載端末の需要が高まる市場では、その沈黙が大きな弱点として浮き彫りになっている。中国政府が主導するAI政策により、DeepSeekのような先進的なAI開発が加速しており、地元企業は次々と製品に組み込んでいる。
こうしたなかで、Appleが導入を遅らせれば、iPhoneが選ばれない理由が市場に明確に可視化されてしまう。Apple Intelligenceの中国展開は5月にも始まるとされているが、現時点で正式な発表はない。Appleは慎重な姿勢を崩していないものの、導入の遅延が続けば、AI時代におけるブランドの存在感そのものが問われることになる。
中国の規制と現地企業連携がもたらす構造的変化
Appleはこれまで自社主導によるAI開発にこだわってきたが、今回の中国市場においては方針の転換を余儀なくされている。中国共産党の規制により、Appleはアリババグループやバイドゥといった現地企業との提携を求められており、これまで保持してきたプロダクト制御の主導権を一部手放す形となっている。
Bloomberg Opinionのキャサリン・ソーベック氏も指摘するように、Appleは現在「内巻き化」の圧力の中で、地元技術者と協働しなければ生き残れない局面にある。一見すれば後退とも見えるこの動きは、Appleにとって戦略的な柔軟性を示すものとも取れる。
特に、社内AI開発の遅れが表面化する中、既に現地で実績を持つ企業との連携は、開発コストやスピードの面でも効果的な手段となり得る。ただし、パートナー企業が中国政府の意向を受けている点を踏まえると、Apple Intelligenceが果たして自社理念を保ちつつ提供されるのかは明確ではない。検閲という制約の中で、どこまで独自性を維持できるかが問われる構図である。
世界的なAI競争の中で試されるAppleの立ち位置
AppleはAIを巡る競争において、従来の技術優位性を失いつつある。AI機能を搭載したiPhone 16の主要アップデートが無期限延期となったことは、長年の支持層にも動揺を与え、Appleが業界の先頭に立ち続けることへの懐疑が広がっている。
同時に、導入済みのAI機能が未成熟であることも指摘されており、これがブランドイメージを傷つける要因となっている。Appleはこれらの課題に対応すべく、経営陣の刷新という異例の手段に出た。これは、単なる開発体制の見直しではなく、AIという企業の未来を決定づける技術に対する危機感の表れであると読み取れる。
グローバル市場では、GoogleやOpenAI、サムスンといった競合が次々と成果を見せている中で、Appleがどのような形でAIに再参入するかが注目される。中国市場での巻き返しは、その試金石であるにとどまらず、Appleの未来そのものを占う試練とも言える。
Source:MacDailyNews