Appleがかつて展開していた小型スマートフォン「iPhone Mini」シリーズの再登場は、当面見込めない情勢となった。Bloombergのマーク・ガーマン氏は、Appleが現在小型モデルの開発を一切進めていないと明言し、同社が約6インチのディスプレイを新たな標準と定めたことを示唆している。
iPhone 13 Mini以降、6インチ未満の公式製品はラインナップから姿を消し、2022年発売のiPhone SE 3もすでに廃止済み。最新の「iPhone 16e」も画面サイズ6.1インチと、コンパクトとは言い難い。競合ブランドも追随する中、小型端末を好む層の選択肢は急速に狭まっている。
Appleの戦略転換は、動画視聴やゲーム利用を重視する市場ニーズに応じたものであるとみられるが、携帯性を重視するユーザー層からは落胆の声も根強い。
Appleが小型モデルを放棄した背景と現在の製品ライン構成

Appleは2020年にiPhone 12 Miniを投入し、小型スマートフォンを好むユーザーから一定の支持を集めたが、翌年のiPhone 13 Miniを最後にシリーズを終了した。現在の最小モデルであるiPhone 16eは、ディスプレイサイズが6.1インチとされ、かつてのMiniモデル(5.4インチ)よりも明らかに大型化している。
さらに2022年に発売されたiPhone SE 3も、すでにラインナップから除外されたことで、Apple公式の6インチ未満のiPhoneは完全に消滅した。Bloombergのマーク・ガーマン氏は、2025年3月26日のQ&Aにて、「現在Appleは小型モデルの開発を進めておらず、完全に大型ディスプレイへの移行を進めている」と発言しており、Apple内部でも方向転換が既定路線であることが明らかになった。
背景には、ユーザーがストリーミングやゲーム、リモートワークなど多用途にスマートフォンを活用する中で、大画面を求める傾向が加速していることがあるとみられる。製品の画面サイズが拡大する一方で、iPhone 13 MiniやSE 3にあった「片手操作可能」「ポケットに収まるサイズ」といった利便性が軽視されている現状は、これらの端末を支持してきた一部の層にとって、受け入れがたい変化となっている。
Appleはこれまで、こうしたニッチな需要にも一定の対応を見せてきたが、現状ではその姿勢に変化が見られる。
スマホ市場全体に広がる「大画面化」の潮流とユーザーへの影響
Appleのみならず、SamsungやGoogleといった主要ブランドも同様に、コンパクトスマートフォンの投入には慎重な姿勢を見せている。Galaxy S24やPixel 9など、最新フラッグシップモデルはいずれも6インチ以上のディスプレイを搭載し、業界全体が「大型ディスプレイを標準とする」方向で足並みを揃えている。
これは、単なるデザインの流行ではなく、ユーザーの使用目的が変化していることに起因していると考えられる。動画視聴、SNSのタイムライン消費、ゲーム体験、そしてテキスト作業やWeb会議といった「作業端末」としての役割が増した現代において、小型端末は表示領域と操作性の両面で不利と見なされがちである。
Appleが大型化を推し進める背景には、こうした市場ニーズの変化に応じた製品設計があると見られる。加えて、大型ディスプレイにより高価格帯への移行が促進されることは、収益面でも企業にとって有利に働く。一方で、「片手で完結する操作性」「ミニマリズムへの親和性」「携帯性の高さ」を求める層にとっては、市場の大画面化は選択肢の喪失を意味する。
現在の動向がこのまま続けば、そうしたニーズは中古市場や一部の海外ブランドへと向かう可能性も否定できない。市場が機能性の拡張を優先する一方で、ユーザー体験の多様性が犠牲になっている構図が浮き彫りになっている。
Source:PhoneArena