Appleの次世代ワイヤレスイヤフォン「AirPods Pro 3」が2025年秋にも発表される可能性が浮上している。BloombergのMark Gurmanは、新たに心拍および温度センサーを搭載する見込みを伝え、健康モニタリング機能の強化が示唆されている。
また、特許申請済みのタッチスクリーン付き充電ケースや新型H3チップの採用により、操作性や音質、バッテリー性能の向上が期待されている。さらに、iOS 19と連携したリアルタイム翻訳機能の導入にも注目が集まっている。
従来のAirPodsとは一線を画す機能強化の背景には、Appleのウェアラブル戦略とAI統合の布石が読み取れるが、実装時期や仕様の確定には依然として不透明な部分も残されている。
健康管理ツールとしての進化 AirPods Pro 3が搭載を目指す生体センサー機能

AirPods Pro 3には、心拍センサーおよび温度センサーの搭載が検討されていると報じられている。BloombergのMark Gurmanによれば、Appleはウェアラブル製品における健康モニタリング機能の拡充に注力しており、耳という接触点を生体情報の取得源とする構想が進んでいる。
Powerbeats Pro 2にすでに心拍測定機能が導入されている点を踏まえると、AirPods Pro 3への実装も現実味を帯びつつある。ただし、Apple Watchとの機能重複を指摘する声もあり、すでに腕元で心拍数や体温を管理できるユーザーにとっては必須機能とは言い難い。
とはいえ、耳内という部位は体温変化や血流の反応を高精度に把握しやすく、継続的なヘルスデータの取得には利点があると考えられる。また、Appleが目指す“より高度な生体情報管理”とは、単一の数値表示にとどまらず、複数デバイスを通じた統合的な健康アセスメントへの布石とも捉えられる。
AirPodsがこれまで担ってきた“音響機器”の領域を超え、日常的な健康の可視化ツールへと拡張される動きは、ヘルステック分野におけるAppleの本気度を映し出す一端である。
操作性と機能性の統合を狙う タッチディスプレイ付きケースの可能性
AppleがAirPods Pro 3で採用を検討しているとされるタッチスクリーン搭載の充電ケースは、2022年に特許申請された技術に基づくものである。Amazonではすでに類似製品が登場しており、JBLのTour Pro 2やLive Beam 3では1.5インチのタッチ式ディスプレイを活用した直感的な操作が実現されている。
これを踏まえ、Appleが自社製品においても充電ケースのUIを進化させる構想は十分にあり得る展開といえる。Apple製品は従来、端末側での操作に依存する設計が主流であったが、ケースに操作系統を一部移行させることで、iPhoneなどにアクセスしづらい状況でも再生・音量・ノイズキャンセリング切り替えなどを可能にする意図が読み取れる。
さらに、ケースサイズの小型化や物理ボタンからタッチセンサーへの移行といった変更も、よりスマートな携行性と操作性の融合を狙ったものとみられる。一方で、このような機能拡張がどの程度ユーザー体験に影響するかは見極めが必要であり、単なる“ガジェット的演出”にとどまらない実用性が問われることになる。
Appleがこのタッチディスプレイをどのようにソフトウェアと連携させ、差別化を図るかが注目される。
新H3チップの導入と音響技術の進化が示す次の一手
AirPods Pro 3では、現行のH2チップを上回る性能を持つH3チップの搭載が噂されている。これにより、音質、通話性能、アクティブノイズキャンセリング、バッテリー寿命の各分野での性能向上が期待されている。AirPods Pro 2やPowerbeats Pro 2ではH2チップにより、Vision Proとのロスレスオーディオ再生が可能となっており、H3チップはさらなる技術的飛躍の鍵を握る存在といえる。
特に、短距離通信において高音質を維持しながら、バッテリー消費を抑える設計が求められるAirPodsシリーズにおいては、SoCの進化が直接的な体験の向上につながる。これに加えて、Appleが開発を進めるリアルタイム翻訳機能がiOS 19と連動して搭載されるとの情報もあり、H3チップは音声認識・処理速度の向上によってその実用性を下支えする可能性がある。
今後、イヤフォン単体での多機能化が加速すれば、ユーザーが求めるのは単なる音響性能だけではなく、インターフェースとしての完成度や柔軟性に及ぶ。H3チップはその基盤を構築する中核として、Appleのエコシステム全体における役割を強化していくものとなりそうだ。
Source:CNET