GPU市場が深刻な供給難に直面する中、Intelの次世代グラフィックスカード「Battlemage」に関する新たなリークが波紋を呼んでいる。著名リーカーJaykihn氏によれば、Arc A770の後継として期待されていたBMG-G31、通称B770の開発は昨年第3四半期に中止されたという。
また、次世代「Arc Celestial」についても有力な進展は報告されておらず、2026年半ば以降まで製品化されない可能性も示唆された。Intelが「価格対性能」に優れるGPUで市場に一石を投じる可能性は残されているものの、現在の逼迫する需要に対する即時の解決策とはなり得ない見通しだ。
市場を牽引するNvidiaやAMD製品の価格高騰が続く中、Intelの高性能GPU不在がユーザー層に与える影響は今後一層深刻化する可能性がある。
Arc B770の開発中止とCelestialの不透明な行方

Jaykihn氏がX(旧Twitter)上で明かしたところによると、Intelが開発していたとされるBMG-G31、通称B770は2023年第3四半期時点で事実上の開発中止となっていた。このGPUは、現行モデルであるArc A770の正統な後継機として位置づけられ、上位性能帯を担うはずであったが、市場投入は実現せず、Intelは代替として250ドル帯のArc B580に注力する判断を下した。さらに、次世代シリーズ「Arc Celestial」に関する続報も現時点では見られず、Jaykihn氏は「報告することは何もない」と発言している。
IntelはこれまでCelestialに一定のリソースを投下してきたとされており、完全な中止の可能性は高くないが、ローンチのタイミングは2026年半ば以降になる可能性が高いとみられている。また、Battlemageと同様、Celestialも数量限定の形での登場にとどまる見込みがあるとの観測もある。これにより、デスクトップ向けディスクリートGPU市場におけるIntelのプレゼンス拡大は、しばらく足踏みを強いられる構図となった。
GPU市場の需給逼迫とIntelに求められる戦略的転換
現在のGPU市場は、NvidiaおよびAMDの製品が高騰し入手困難な状況にあり、競合他社に対抗しうる選択肢の登場が強く求められている。仮にIntelがB770のような価格対性能に優れた上位GPUを市場投入していたならば、この逼迫した状況の一時的な緩和に寄与していた可能性がある。だが、実際にはB580を主力とする中価格帯に戦力を集中し、高性能帯における展開は見送られたかたちとなった。
この選択は、短期的な収益性や製造リソースの最適化を優先した結果とも考えられるが、長期的にはハイエンド市場における存在感の希薄化を招くリスクを孕んでいる。Celestialに向けた開発が継続中であるとの見解も一部にあるが、正式発表のないまま時間が経過すれば、市場の期待感は徐々に薄れかねない。Intelが価格競争力に優れた製品で再び注目を集めるには、開発の遅延ではなく、供給網やマーケティング戦略の再構築が不可欠となるだろう。
Source:Digital Trends