AppleはmacOS 15.4の第2リリース候補に合わせ、MacおよびiPad向けのFinal Cut Proをアップデートした。Mac版11.1とiPad版2.2では、Apple独自の生成AI機能「Apple Intelligence」を活用した新ツール「Image Playground」が登場し、説明文やコンセプト、写真ライブラリに基づいてスタイライズ画像を自動生成できるようになった。

Mac版ではカラー補正やエフェクトの一括適用、マグネティックマスクの高速化、「Quantec QRS」エフェクトによる高品質なリバーブ追加など、編集ワークフローの強化が目立つ。iPad版も縦向き表示対応やキーボードショートカット拡充、50fps撮影対応などにより、携帯端末での映像制作の自由度が広がっている。

Apple Intelligenceがもたらす映像制作の変化

Final Cut Pro 11.1と2.2の最大の特徴は、「Apple Intelligence」による生成機能「Image Playground」の追加である。説明文やコンセプト、写真ライブラリに含まれる人物情報をもとに、AIがスタイライズされた画像を生成できる点が新しい。これにより、イメージカットやコンセプトビジュアルの作成が圧倒的に簡易化され、視覚的演出の幅が広がる。とくに動画制作におけるテーマ演出やムード作りにおいて、画像素材の自動生成は強力な武器となる。

Mac版では、タイムライン上での調整クリップへの一括エフェクト適用や、「Magnetic Mask」の操作性向上、「Quantec QRS」エフェクトによる音響処理なども注目点である。これらの機能強化は、制作現場で求められる精度や時短ニーズに応える仕様といえる。一方でiPad版では縦向き編集や50fps撮影、キーボードショートカット追加によって、携帯環境下での柔軟な編集が実現されている。

これらの変化は、あくまで「既存の映像制作フローの一部をAIが補完する」段階にあり、完全な自動化とは異なる。だが、素材生成やマスク処理といった手間のかかる作業が省略されることで、創作に割ける時間とエネルギーが明らかに増えていくことは間違いない。

モバイル編集の実用性を高めるiPad版の進化

iPad版 Final Cut Pro 2.2では、従来のモバイル編集ツールとは一線を画す実用的なアップデートが加えられた。縦向きレイアウトへの対応はSNS向け動画やストーリー形式のコンテンツ制作を念頭に置いたものとみられ、現代の動画消費スタイルに合った設計となっている。さらに50fps撮影への対応は、スローモーション編集や滑らかな動きの表現を求める映像制作において効果を発揮する。

キーボードショートカットの拡張では、「持ち上げ」「上書き」「ギャップ置き換え」といった中級者以上の編集操作が高速化されており、タブレットながらも本格的な編集作業に耐えうる仕様に近づいている点が評価される。また、「Image Playground」もMac版と同様に搭載されており、タッチ操作でAI生成画像を扱えるという直感的な利便性も特筆すべきである。

ただし、Mac版が買い切り制であるのに対し、iPad版は月額または年額のサブスクリプション方式が採用されている。長期的な使用を想定する場合、支払い形態の違いが選択の分かれ目になる可能性は否めない。だが、持ち運びと即時編集を両立したいユーザーにとって、今回の進化は選択肢として十分な魅力を持っている。

Source:BGR