AMDの未発売CPU「Ryzen 5 9600」が、PassMark上の初期ベンチマークにてRyzen 5 9600Xと極めて近い性能を記録した。ベースクロックおよびブーストクロックはそれぞれ100MHz、200MHz低下しているが、シングルスレッド性能で3.2%、マルチスレッド性能で2.2%の差にとどまっている。
合成ベンチマーク上では依然として高速と評価され、ゲーム用途を含む実用性能でも一定の期待が寄せられるが、市場への流通状況は不透明である。AMDはこのチップがOEMおよびシステムインテグレーター向けと述べており、米国では一般販売の兆候が確認されていない。
価格面では9600Xより約20ドル安価とされ、Zen 5世代のコスト効率の高い選択肢となる可能性があるが、現時点ではその入手性に課題を残す。
Ryzen 5 9600のベンチマーク性能が示す実力と非Xモデルの位置づけ

PassMarkの初期データによれば、Ryzen 5 9600はシングルスレッド性能でRyzen 5 9600X比3.2%、マルチスレッド性能で2.2%の差にとどまる。ベースクロックとブーストクロックはそれぞれ100MHzおよび200MHz低いが、これは仕様上の差異として想定内とされる。
PassMarkのCPUベンチマークは、整数演算、浮動小数点演算、文字列ソート、物理シミュレーションなどの分野で構成されており、CPU自体の純粋な処理能力を評価する指標として広く参照されている。
Ryzen 3000シリーズ以降の非Xモデルは、基本設計をそのままに電力制限やクロックをわずかに抑えた仕様となっており、パフォーマンス面での差異は限定的である。Ryzen 5 9600も例外ではなく、特にコストを重視するユーザーにとっては有力な選択肢となり得る構成といえる。
AMDの戦略として、エンスージアスト向けのX付き製品を先行投入し、その後に控えめな仕様の非X版を展開する手法は定着しており、本製品もその流れを汲んでいると考えられる。
市場供給の不透明さとRyzen 5 9600が持つ戦略的価値
Ryzen 5 9600は2024年末にAMD公式サイトへ掲載されたものの、米国市場では依然として一般販売が確認されていない。
AMDはこのCPUをOEMおよびシステムインテグレーター向け製品として設計したとしており、自作市場でのバルク供給は極めて限定的とみられる。WCCFTechによると、ヨーロッパの一部小売店では9600Xより約20ドル安い価格でプレリリース版が出回っていたが、それ以降の流通情報は報告されていない。
この状況は、Zen 5アーキテクチャを搭載したゲーミングPCの構築を目指す消費者にとって障壁となる。付属クーラー込みでの供給が実現すれば、初期投資を抑えた構成が可能となり、エントリー層や学生を中心とした新規ユーザーの取り込みが期待できる構成であるだけに、現状の供給制約は機会損失につながりかねない。
AMDが戦略的に特定チャネルに流通を限定している意図は明言されていないが、製品ポートフォリオ上での位置づけと供給方針のバランスが問われている。
Source:HotHardware