Intelが開発を進めながらもリリースを断念したMeteor LakeベースのCore Ultra 100デスクトップCPUに、6つのPコアと8つのEコアで構成された14コアモデルの存在がアジアのメディア「IT Home」によって確認された。ハイパースレッディング非搭載という設計は、次世代のArrow Lakeに先んじた構成とされている。
このチップは正常にOSを起動し、ベンチマークテストでも一定の性能を示しており、シングルコア性能ではRyzen 5 7600XやCore i7-12700Fに匹敵する数値を記録した。現在、一部の販売者がこうした試作チップを保有しており、対応マザーボードを用意できれば利用も可能とされている。
量産前に製造されたこれらの個体は、中国の小売市場で流通する可能性もある。正式な製品として陽の目を見ることはなかったが、技術的な価値と話題性を持ち続けている。
モバイル向けとは一線を画す構成と仕様に見る未発売CPUの設計意図

今回確認されたCore Ultra 100デスクトップCPUは、モバイル向けに展開されていた同シリーズとは明確に異なる構成を採用している。6つのパフォーマンスコア(Pコア)と8つの高効率コア(Eコア)による合計14コアで、ハイパースレッディングは無効化されていた。
この設計方針は、次世代のArrow Lakeで導入予定とされている特徴を先行的に採用したものであり、アーキテクチャ上の過渡期を象徴している。実際に撮影されたチップには「Q46W」の刻印があり、現在のLGA1851ソケットと互換性を持つMeteor Lakeのエンジニアリングサンプルであることが確認された。
IT Homeが公開したCPU-ZおよびAIDA64の画面からは、基本クロック2.8GHz、最大ブースト4.5GHz、TDP65W、PL2 135Wといったスペックが読み取れる。これらの数値は、現行の主力デスクトップCPUと比較しても遜色ないレベルにある。
さらにベンチマークにおいては、シングルコアで732.3、マルチコアで5760.2というスコアを記録し、Ryzen 5 7600XやCore i7-12700Fと同等の単体性能を示した。未発売品ながら実動作が確認されており、Intelが中止を決断した背景には技術的課題よりも市場戦略上の要因が大きいとみられる。
中止された背景に透けるIntelの世代間移行戦略と市場判断
このMeteor LakeデスクトップCPUの製造時期は、キャンセルの報が流れ始めた2023年12月前後とされており、短期間ながら量産準備段階にまで進んでいたことがうかがえる。しかし最終的には正式発表に至らず、製品化は見送られた。
この背景には、次期Arrow Lake世代との住み分けや、Meteor Lakeの設計資産をモバイル向けに集中させるという戦略的判断が影響した可能性がある。Arrow Lakeではハイパースレッディングの撤廃が示唆されており、今回の14コア構成はその布石と捉えられる。
また、IT Homeによると、中国国内ではこのチップの一部が流通しており、特定の販売者がバッチ単位で保有しているとの情報もある。未発表のCPUであるがゆえに、通常のマザーボードでは認識されないため、動作させるには特別な基板が必要とされる。
こうした技術的なハードルと、安価で手に入る可能性のある流通経路とのバランスが、今後の一部市場での注目を集める要因となりうる。ただし、こうしたCPUの広範な普及には至らず、あくまで一部技術者や愛好者の間での利用に留まると見られる。Intelとしても、製品化されなかったチップが市場に出回ることは想定外であり、ブランド戦略上の影響も無視できない。
Source:Club386