Nvidiaの株価は、AI需要の堅調な伸びにもかかわらず、トランプ前大統領が4月2日に発表予定の「相互」関税を巡る不透明感により今週下落した。対象に台湾製半導体が含まれる可能性が意識され、市場は先行きへの警戒を強めている。

一方でAppleが約10億ドル相当の最新AIシステムをNvidiaに発注したことが明らかとなり、地政学的リスクを超える需要の底堅さが浮き彫りとなった。これは250台におよぶ高性能サーバーの導入に相当し、業界内でのNvidiaの存在感を改めて印象づけるものである。

株価は最高値から約27%下落しており、投資家の間では戦略的な「押し目買い」の好機と捉える声も根強い。AIコンピューティングの主導権を握るNvidiaの次なる展開に注目が集まっている。

Appleの10億ドル発注が示すAIインフラ転換の本格化

Loop Capitalの報告によれば、AppleはNvidiaの最新AIシステム「GB300 NVL72」を約10億ドル規模で発注した。このシステムは1台あたり最大400万ドルに達し、合計250台が導入される見通しである。クラウドからエッジに至るAI処理の基盤整備において、極めて大規模かつ戦略的な設備投資と位置付けられる。

この受注が象徴するのは、生成AIの処理基盤に対する需要の高まりと、それを担保する演算性能への期待である。Appleのような巨大企業が1社でここまでの投資に踏み切るという事実は、今後他社の追随も招き得る重要な兆候といえる。一方、地政学リスクやサプライチェーン制約が残存する状況下で、Nvidiaのサーバー供給能力が需給バランスを崩さず維持されるかが注目される。

今回の案件は、Nvidiaの製品力だけでなく、AI産業全体における投資スタンスの変化を映し出している。消費者向け製品の強化にとどまらず、AIファクトリーや自社LLMの訓練基盤構築に乗り出す企業が増える中、Appleの判断は象徴的である。

トランプ氏の「相互」関税構想が与える市場心理への影響

4月2日に予定されるトランプ前大統領の関税発表を前に、市場は再び米中間の貿易摩擦再燃の可能性に神経を尖らせている。現時点では台湾からの半導体に直接的な関税が課されるとの明言は避けられているが、「将来的な対象拡大」の含みが投資家心理を冷やしている。特に先進チップの製造を台湾に依存するNvidiaには、供給網の脆弱性という懸念がつきまとう。

こうした不透明感が強まる中で、今週はNvidiaだけでなく、AMDやBroadcomなど他の半導体銘柄も軒並み下落した。これは単なるNvidiaの問題ではなく、半導体セクター全体が地政学リスクと政治的リスクに再び晒されている構図を示している。トランプ氏の発言一つで株価が動揺する現状は、政策とテクノロジーの相互依存性の深さを物語っている。

半導体は国家間のパワーバランスを左右する戦略資源へと変貌を遂げた。仮に関税対象が拡大すれば、価格転嫁による最終製品の値上げや設備投資の鈍化も想定され、企業経営や消費者にとっても重大な波及効果を生む可能性がある。

次世代GPUロードマップが映すNvidiaの成長エンジン

GTCイベントで発表されたNvidiaのロードマップは、単なる技術発表を超えた、事業戦略そのものの宣言である。2025年初頭に出荷されるBlackwell GPUは、主要クラウドプロバイダー4社から360万ユニットの注文を受けており、その後もBlackwell Ultra、Vera Rubin、Rubin Ultraと段階的に性能向上を伴って進化する計画が示された。

また、「NVIDIA Dynamo」やシリコンフォトニクスを活用した電力効率化技術の導入は、AI処理が急増する中でのエネルギー消費の課題に向けた明確な回答となる。膨大な計算リソースを支えるインフラとしてのGPUは、単なる演算装置ではなく、AI経済の基盤そのものになりつつある。

このように、ハードウェア性能だけでなく、電力効率・拡張性・パートナーシップといった多方面での布石を打つことで、NvidiaはAI時代における総合的なプラットフォーム企業としての地位を固めつつある。市場の関心が短期の価格変動に集まりがちな中、構造的成長の源泉はこの中長期的な設計思想にこそある。

Source:Barchart.com