Appleが発表した第11世代iPadは、Apple Intelligence非対応という点で一部ユーザーの期待を裏切った形となった。だがCIRPの調査結果から、その背景にある販売戦略が浮かび上がる。2024年には、エントリーモデルのiPadがiPad全体の販売の38%を占めており、前年からさらにシェアを拡大している。
Appleにとって、より安価なモデルの好調な売れ行きは歓迎すべき結果ではあるものの、同時に高価格帯のiPad Proの収益性と競合してしまう可能性もある。そのため、AI機能を含む高度なスペックは意図的に上位モデルに限定されていると考えられる。
iPhoneにおいてもAI搭載が販売の大きな後押しになっていない今、iPadにおいても同様の現象が続く可能性は高い。次の本格的な進化は、Appleが上位機種にさらなる差別化要素を与えられる時まで待つことになりそうだ。
普及モデルの販売比率が示すiPad戦略の実態

CIRPの調査によれば、2024年におけるエントリーモデルiPadの販売比率は38%に達し、2023年の30%からさらに増加している。比較として、iPad miniは9%、iPad Airは15%、iPad Proはエントリーモデルと同じ38%となっている。Appleは2023年にはiPadシリーズ全体で新モデルを発表しなかったが、前年に投入された第10世代iPadと第9世代の低価格モデルが継続して市場を牽引したとされる。価格帯の異なる複数のモデルを併売することで、特に低価格帯の需要を的確に捉えた結果といえる。
この販売構造を踏まえると、Appleがエントリーモデルに大幅な機能強化やApple Intelligenceのような先進機能を搭載しない方針は明確に見えてくる。高性能なiPad ProやAirと明確に差別化しなければ、エントリーモデルの売れ行きがかえって上位機種のシェアを侵食しかねない。価格帯に応じてユーザーのニーズを分類し、それぞれのポジションに合った性能を与える戦略が貫かれているようだ。
Apple Intelligence非搭載は本当に”がっかり”なのか
第11世代iPadは、Apple Intelligenceに非対応であることが一部で批判の的となっている。しかし、A17 Proチップや8GB以上のRAM、128GB以上のストレージなど、Apple Intelligenceが動作するには一定以上のスペックが求められる。これを前提とすると、400ドル前後で販売されるエントリーモデルにこれらの要件を満たす構成を投入するのは現実的とは言い難い。仮に実現した場合、価格性能比が高すぎて上位機種の存在意義が薄れてしまう危険がある。
また、Apple Intelligenceの機能は、現段階ではiPhoneでも目立った販売増加には結びついていない。これはユーザーの大半が、AIによる学習支援やノートの自動整理といった機能に、まだ日常的な価値を見出していないことを示している可能性がある。つまり、非搭載=劣化ではなく、用途に応じた選択肢の一つと捉えるべきだろう。軽量で長時間使えるiPadが求められる層には、現行の構成でも十分な魅力がある。
Source:BGR