デル・テクノロジーズの株価は過去最高値から47%下落したが、AIインフラ需要の急拡大が同社の成長エンジンとして注目されている。2025年度第4四半期におけるAI関連の受注残は41億ドルに達し、2025年2月時点で約90億ドルに倍増した。
サーバーやストレージ市場でも堅調なパフォーマンスを維持しており、AI搭載PCの普及に伴いクライアント部門も回復基調にある。将来予想PERが11.68倍と割安感が強く、2026年度に二桁の利益成長が見込まれることから、株式市場での評価見直しが進む可能性がある。
アナリストは同社の成長性と市場での優位性を踏まえ、引き続き「強気の買い」姿勢を維持している。
AI需要が牽引するデルの受注拡大と収益基盤の強化

デル・テクノロジーズは、AIインフラ分野における旺盛な需要を背景に、受注残高を急拡大させている。2025年度第4四半期におけるAI関連の出荷額は21億ドル、受注は17億ドルに達し、受注残は41億ドルに上った。その後、2025年2月にはxAIを含む主要パートナーとの連携を拡大した結果、AI関連の受注残は90億ドルに倍増した。この急成長は、XE9680などの高性能AIサーバーの市場投入によって顧客基盤が広がり、企業のAI導入需要が明確に浮上していることを示している。
デルは高性能・省エネルギー型のAIソリューションや柔軟なファイナンスプランを武器に、大手クラウドサービス事業者および法人顧客への浸透を加速させている。AIだけでなく、従来型のサーバーおよびストレージ事業も成長を維持しており、PowerStoreやPowerFlexといった製品群の堅調な売れ行きが収益の下支えとなっている。AIと伝統的インフラの両軸でポートフォリオを最適化するデルの戦略は、短期的な需要変動に対しても耐性を持つ構造を築いている。
デルの財務体質は健全であり、2026年度には売上高が1,010億〜1,050億ドル、調整後EPSは中央値で9.30ドルが見込まれている。AI需要の継続を前提にしたこうした予測は、同社の成長軌道が一過性ではないことを市場に示唆している。
株価評価の乖離と市場の過小評価が生む再評価余地
デルの現在の株価水準は、将来予想PER11.68倍、P/S比率0.72倍と、主要テック企業と比較しても相対的に低く抑えられている。過去最高値の179.70ドルから47%の下落を経てなお、AI分野での受注拡大や堅実な売上成長が継続しているにもかかわらず、株式市場はこの成長力を十分に織り込んでいない状況にある。2026年度に予想される14%の利益成長率や、AI関連売上150億ドルという見通しは、同社が単なるハードウェアメーカーにとどまらず、高付加価値なテクノロジープラットフォームへと進化している証左である。
特に注目すべきは、AI搭載PCや高性能インフラに対する法人需要の拡大が、従来のサイクルを超えた長期的な需要の転換点となりつつある点である。これにより、デルはハードウェアにとどまらない付加価値ビジネスへの移行を進めており、これが利益率の向上と安定的なキャッシュフロー創出に貢献している。
アナリストの間では、ウォール街における「Strong Buy」の評価が継続されているが、市場全体では依然として株価が控えめに推移しており、再評価の余地が残されている。テクノロジーセクターにおける評価軸の転換が進めば、デル株は割安感を解消し、持続的な上昇基調へと転じる可能性が高い。
Source: Barchart