Vivoが発表した複合現実(MR)ヘッドセット「Vivo Vision」が、AppleのVision Proに極めて類似したデザインで注目を集めている。外部バッテリーや布製フェイシャルインターフェース、名称までもが酷似し、UploadVRは「クローンの域」と評するほどだ。
スペックや価格は未発表だが、初夏の発売が予定されており、現時点ではモックアップの可能性も否定できない。また、同社はAIや空間コンピューティング技術をロボティクスに応用する研究施設「vivo Robotics Lab」設立も発表しており、今後は家庭向けロボット開発にも注力していく姿勢を示している。
Vision Proと“見間違う”外観 Vivo Visionが映し出す模倣の極地

Vivo Visionのビジュアルは、AppleのVision Proを思わせる設計で、その類似性は驚くほど高い。グレーの布素材を使ったフェイシャルインターフェース、後頭部を支えるストラップ、外部バッテリーの位置や形状、さらにはデバイス名にまで“Vision”という単語を用いており、UploadVRが「クローンの域」と指摘するのも無理はない。側面のアーム部分のみが金属風に変更されており、これはオリジナルとの差異を際立たせる数少ない要素である。
ただし、模倣に見えるこれらの仕様には、別の意図もあるのではないかと感じられる。Appleが採用した構造はユーザー体験を重視した合理的な結果であり、他社が同様の設計に至るのは自然な流れとも考えられる。あえて似せたのではなく、結果的に似てしまったとも受け取れる部分がある。また、「空間コンピューティング」という専門用語の採用からも、Vivoが単なる外観の模倣にとどまらず、コンセプト面でもAppleの提示した方向性を踏襲しようとしている様子がうかがえる。
スペック非公開のまま初夏発売予定 動作不明のVivo Visionがもたらす不安と期待
Vivo Visionの製品としての全容は依然として明かされていない。初夏の発売が告知されているにもかかわらず、スペックや価格といった重要な情報が一切開示されておらず、製品自体が実際に動作するのか、あるいはモックアップであるのかすら判別不能な状態である。公開されたのは外観とコンセプトに関する情報のみで、社外の人間による試用も行われていない点が注目されている。
このような不透明な状態は不安を招く一方、未知への好奇心をかき立てる材料にもなる。特に、実機が実在し、それがVision Proに対抗しうる性能を持っていた場合、Android陣営におけるMRヘッドセットの選択肢が一気に広がる可能性もある。Vision Proの価格帯が高価なことを考えれば、Vivo Visionが価格面でのアドバンテージを狙ってくる展開もあり得る。現段階では、製品としての信頼性よりも話題性が先行している印象が否めず、発売直前までにどれだけ具体的な情報が出るかが鍵となりそうだ。
AIと空間コンピューティングの融合 vivo Robotics Labが示す未来の家庭像
VivoのCOOである胡柏山氏が発表した新組織「vivo Robotics Lab」は、AIの大規模学習モデルと空間コンピューティングを活用し、ロボティクス領域の進化を目指すという。特に「ロボットの脳と目」という表現からは、知能と視覚の両面を高度に統合しようとするビジョンが感じられる。Vivo Visionを通じて得られるリアルタイム空間認識の知見を、ロボット開発に活かすという構想は、家庭向けロボット製品への展開も視野に入れたものだ。
テクノロジーを生活空間へと落とし込むこのアプローチは、単なる実験的研究ではなく、一般消費者の手に届く製品としての具現化を意識している点が注目に値する。ただし、現段階ではロボットの具体的な製品像や機能、発売時期に関する情報は示されておらず、構想段階の域を出ていないのが実情である。それでも、空間コンピューティングを軸に据えたVivoの取り組みは、MRとロボティクスの融合が身近なものになる未来を想像させる。
Source:9to5Mac