2025年に入り下落傾向が続くNvidia株(NASDAQ: NVDA)を巡り、内部関係者による大規模な売却が相次いでいる。特に3月は売却活動が活発化し、月初からすでに約2,000万ドル相当の株式が手放された。注目すべきは、CFOのコレット・クレス氏が約7.8百万ドルを得た取引や、取締役のバージェス氏、シャー氏による数百万ドル規模の売却である。これらのインサイダー取引は、株価が111.98ドルであるにもかかわらず、それを上回る価格帯で実行されており、今後の株価動向への警戒感を強める要因となりうる。
3月に集中するNvidia幹部らの大規模売却とその実態

2025年に入り、Nvidiaの株価は年初来で16.61%下落しており、その動揺を受けてか、同社の幹部・取締役らによる株式売却が目立ち始めている。特に3月は売却件数・金額ともに急増しており、わずか1か月で約2,000万ドル相当の株式が内部関係者の手によって市場に放出された。
中でも注目されるのは、EVP兼CFOのコレット・クレス氏が66,660株を平均116.83ドルで売却し、7.8百万ドルを得た取引である。加えて、取締役ロバート・バージェス氏が53,324株を平均115.49ドルで売却し、6.16百万ドルの資金を確保した。
これらの売却はいずれも、記事執筆時点での市場価格111.98ドルを上回る価格帯で実行されており、時機を捉えた計画的な取引であることが読み取れる。また、2023年から2024年にかけて99,000株を処分していたパーシス・ドレル氏の報告が遅れて3月に提出されたことも、情報開示のタイミングとその影響をめぐる議論を呼ぶ。小口の取引も含め、3月だけで6件の売却が記録されており、Nvidia内部で何らかの共通認識が働いた可能性を否定できない。
株価下落と売却加速の背景にある複合的リスク要因
Nvidia株が2025年に入り下落基調を続けている背景には、単一の要因にとどまらない複雑な逆風がある。主な下落要因としては、米国の対中規制強化に伴う輸出制限や、中国市場における競合メーカーの台頭、さらには製造体制に起因する内部課題が挙げられる。
加えて、景気後退懸念やデータセンター需要の過熱感がバブル的様相を呈しつつあるとの見方も、投資家心理に影を落としている。これらの要素が複合的に作用し、同社株は年初以降で2桁を超える下落幅を記録している。
こうした市場の不安定さを受けて、内部関係者が高値圏での利益確定に動いた可能性があるが、それが一段と市場の不信感を高める構図になっている点は注視すべきである。事実として、報告されたすべての取引は現時点の株価よりも高い水準であり、インサイダーによる売却タイミングの巧妙さが際立っている。ただし、これが企業の成長性そのものに対する否定的な評価を意味するのかは、現段階で断定できない。株価の調整局面と内部者売却の動きが交錯する中で、短期的な変動と中長期的な企業価値の分離が求められる局面にある。
Source: Finbold