3月26日にS&P500構成銘柄で最大の下落率を記録したNvidia株(NASDAQ: NVDA)は、年初来で16.61%下落し、市場では100ドル割れの懸念も浮上している。
しかし、TipRanksのデータによれば、42人のウォール街アナリストのうち39人が依然として「買い」と評価しており、平均目標株価は現在の水準から55.19%高い176.54ドルに設定されている。
GPUテクノロジーカンファレンス後の分析では、短期の値動きよりもAI関連の成長性やBlackwellチップへの期待が評価されており、アナリストたちは一貫して長期的な強気姿勢を崩していない。
短期的な値動きとテクニカル要因が示す市場の不安定さ

Nvidia株は3月10日に106.98ドルの安値をつけて以降、13.5%の反発を見せたが、3月14日および24日に試した120ドルのレジスタンスラインはいずれも持続できず、直後に反落した。この2度の反落により、短期筋による利益確定や買い勢力の不在が浮き彫りとなり、テクニカル的な売り圧力の強さが明らかとなった。特に3月26日には一日で5.47%下落し、S&P500構成銘柄の中で最大の下落率を記録するに至った。
年初来の下落率は16.61%に達し、月足でも11.57%の下落幅となっている。市場では心理的節目である100ドル割れを意識する声が強まりつつあり、この水準を割り込んだ場合には機関投資家のポジション調整が連鎖的に進むリスクが指摘されている。値動きに対してファンダメンタルズが追いつかないとの見方も根強く、ボラティリティの高さが投資判断を難しくしている。
もっとも、この急落はNvidia固有の材料というよりも、AI関連株全体に対する過熱感やリスク回避姿勢の高まりが背景にある可能性が高い。投資家が短期のチャート形成を過度に重視することで、成長株に特有の一時的な調整を過大評価している側面も否めない。
ウォール街の評価は依然強気 アナリスト42人中39人が「買い」を維持
Finboldが引用するTipRanksの集計によれば、ウォール街の42人のアナリストのうち、実に39人がNvidiaに対して「買い」のレーティングを継続しており、目標株価の平均は176.54ドルと現在の水準を大きく上回っている。最も弱気な125ドルでさえ、現在の株価から約12%の上昇余地を残しており、220ドルという強気予想では最大96%超の上昇が見込まれている。
この評価は、3月17日から21日にかけて開催されたGPUテクノロジーカンファレンス後にも変化はなく、9人のアナリストがレーティングを更新したが、全員が目標株価を維持している。RosenblattのKevin Cassidy氏やTigress FinancialのIvan Feinseth氏は、同社の新世代Blackwellチップに対する強い需要を理由に220ドルの目標株価を提示している。AI分野における設備投資の継続も、強気評価を支える根拠の一つとされる。
一方で、DA DavidsonのGil Luria氏のみが目標株価を135ドルから125ドルに引き下げており、成長加速への警戒感も一部には存在する。ただし、その評価も「中立」にとどまり、「売り」判断は一件も確認されていない。株価下落にもかかわらず、多くのアナリストは同社の中長期的な競争優位性を重視しており、短期の価格変動よりも成長ポテンシャルに視線を据えている。
Source:Finbold